特集:美しい道を走る
走ることは、移動ではなく「体験」だ。道の形、光の色、空気の粒。その一瞬に心を掴まれる。
美しい景色を求めて、ハンドルを握る。行き先を決めるよりも、「その場所の光や空気を見に行く」感覚に近い。サンルーフを開けて、風を感じながら、目的地へと続く道を走る時間が、もうすでに旅の一部になっている。
たとえば、雲が低く流れる志賀高原のワインディング。あるいは、夕暮れの湖畔を駆け抜ける奥日光の道。その先で出会う風景のすべてが、記憶に焼きついていく。
この特集では、そんな「景色に会いに行くドライブ」を記録していく。愛車とともに走りながら、移ろう季節と土地の匂いを写し取る。風景を追いかける旅のアーカイブ。
志賀高原 — 初秋の空気を追いかけて
10月中旬、用事で訪れた長野からの帰り道。空気がひんやりと澄んで、紅葉が少しずつ山肌を染め始めていました。そんな季節の変わり目に、CX-60を走らせて志賀高原を巡ることにしたのです。
長野市内から山道へ。途中で車を止めてカメラを構え、一沼の静かな水面や、傾く陽に照らされた紅葉を切り取る。標高2,300mの横手山からは北アルプスまで見渡せて、秋の光が山々を柔らかく包み込んでいました。
ただのドライブではなく、季節そのものを感じに行く旅。CX-60のトルクを感じながら、静かな高原の空気を吸い込む時間は、まるで日常の延長線に現れた非日常。秋を走る歓びを思い出させてくれるロードトリップ。
▶ CX-60を走らせて、初秋の志賀高原へ〈前編〉
▶ CX-60を走らせて、初秋の志賀高原へ〈後編〉
奥日光 — 雪の中を走る静かな時間
雪の奥日光には、静かな世界が広がっている。
いろは坂を登りきるころには、道路の脇に白い雪が積もり始め、気温はマイナスに。ハンドルを握る手に力が入る一方で、フロントガラス越しに広がる雪景色が息をのむほど美しく、冬の澄んだ空気が心地よく感じられます。
中禅寺湖畔は一面の銀世界。静まり返った湖面に山の影が映り、観光地とは思えないほどの静寂が漂っていました。さらに先へ進み、戦場ヶ原から湯元温泉へ。雪道を踏みしめるCX-60の走りは安定していて、冬のドライブを安心して楽しむことができました。
雪に包まれた奥日光を走る時間は、日常の喧騒から少し離れて、自分の中の静けさを取り戻すような体験でした。
▶ CX-60で行く、雪の奥日光ロードトリップ〈前編〉
▶ CX-60で行く、雪の奥日光ロードトリップ〈後編〉
房総 — 紫陽花の丘をめざして
6月の終わり、梅雨の晴れ間を狙って房総半島へ向かいました。目的地は、千葉・茂原市にある「服部農園あじさい屋敷」。山の斜面いっぱいに咲く紫陽花をもう一度見たくて、2年連続の訪問です。
平日だったこともあり、園内は人も少なく、ほぼ貸し切り状態。犬と一緒に斜面を歩きながら、見渡す限りの紫陽花をカメラに収めました。蒸し暑さを忘れるほど涼しい風が吹き抜け、裏の目的だった冷えたスイカも最高に美味しかったです。
アクアラインを渡って小旅行。遠出ではないけれど、季節の色と香りを感じるには十分でした。
▶ 犬を連れて房総へ〈前編〉|紫陽花に誘われて、房総の風に会いにいく
▶ 犬を連れて房総へ〈後編〉|おいしい香りに誘われて、ハーブガーデンでランチ
長野 — 帰省の途中で、旅になる
ゴールデンウィークは、妻の実家のある長野へ。犬を連れて車で向かった2泊3日の帰省でした。観光を目的にした旅ではなかったけれど、道の先にはやっぱり風景がありました。
2日目は、飯山市の菜の花公園へ。見渡す限りの黄色が広がり、春の空気を全身で感じるような時間。最終日は白馬方面へ回り、青木湖畔の〈ao LAKESIDE CAFE〉に立ち寄りました。北アルプスを望むテラス席で味わう抹茶ラテは、長旅の終わりにちょうどいいご褒美です。
渋滞に巻き込まれながらも、CX-60は静かに、力強く走り続けてくれた。特別な旅でなくても、思い出はちゃんと残る。そんな「暮らしの延長線にあるドライブ」の記録です。
▶ わたしたちの長野旅行|帰省のついでに、絶景と湖畔カフェへ