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CX-60、納車から2年経ちました
MAZDA CX-60が納車されて早くも2年が経ちました。あっという間だったね。
この2年間、このCX-60でいろんな場所に出かけました。記事執筆時点で走行距離は22,000km程度となっています。月に1,000km程度と、きわめて標準的な乗り方かなと思います。
そして、この2年間でCX-60には何度もリコールやサービスキャンペーンが入りました。オーナーとしてはベータテストに参加したような気分で、あまりいい体験ではありませんでした。後述するCX-60の楽しさは最初から備わっていたけれども、それとこれは別の話でして、品質は低かったと言わざるを得ません。
——というようなことを思いながらこの記事を始めましたが、納車2年時点のレビューというか、これまで乗ってきたCX-60の感想をお伝えできればと思っています。長くなってしまいましたが、ぜひ最後までお付き合いください。
もくじ
最高だけど課題もある車
いきなり本質から入りましょう。MAZDA CX-60を一言で表すなら、「最高だけど課題がある車」です。つまり、その走行性能ゆえに「めっちゃ気持ちいい」と思う瞬間と、乗り心地に課題を感じたときの「今すぐ売り払いたい」が共存する稀有な車というわけです。そしてそれが両方に振り切れていると。
郊外に遠出したときのワインディングや、高速道路での加速など、アクセルを踏み込んだ瞬間の気持ちよさは素晴らしいものがあります。直列6気筒ディーゼル+マイルドハイブリッドのトルクは特筆すべきで、ちょっと踏み込んだだけで想像以上の加速感が得られます。それがめちゃめちゃ気持ちよくて、「この車最高すぎる!」とアドレナリンが出まくる。
また、内外装の仕立てのよさもライバルから頭ひとつ抜けてますよね。僕はロジウムホワイトのPremium Modernを所有していますが、このギラギラ感というか、高級感の中に優しさとセンスが内包されている感じがとても好きです。
一方、乗り心地については課題も多い。
高速道路での安定感は素晴らしく、スピードを上げるほど安定するような感覚すら覚えるほどです。しかし、段差を乗り越えるときに上下にかなり揺られる挙動を示すはちょっと頂けないかなと。納車当初は気になっていなかったし、この車の味付けだと思っているけれども、それでも受け入れがたい場面はあります。
たとえば、首都高K1横羽線の高架部分を走っているときは、そのまま買取店に持ち込んでやろうかと思ってしまうほど。この路線は古いからかひとつひとつの橋桁が短く、ジョイント部分を頻繁に越えることになります。そしてそれには結構な段差があるので、普通に走っているだけなのに車が頻繁に上下にかなり揺られるんです。発狂しそうになる。
ただ、納車当初はトランスミッションでの挙動にも大きな課題があったのですが、それは度重なるリコールやサービスキャンペーンでソフトウェアアップデートが施され、かなり改善しました。変速時にたまにギクシャクすることがありますが、もう気になるレベルではありません。
MAZDA CX-60に2年乗った感想をざっくりまとめると以上のような感じ。「最高」と「課題」を天秤にかけたときに、僕にとっては最高だと感じる瞬間が多かったので、ここまで乗り続けてきました。
では、少しずつ掘り下げていきましょう。
購入した仕様
まず始めに、僕が購入したCX-60の仕様をお伝えしておきます。グレードはXD-HYBRID Premium Modern、色はロジウムホワイトプレミアムメタリック。
このグレードの魅力をざっくりまとめると、
- 3.3L 直列6気筒ディーゼルターボ + 48Vマイルドハイブリッド → 力強い加速と燃費の良さを両立
- 流麗なエクステリア & クローム加飾のアクセント → 高級感がありつつ、洗練されたデザイン
- 白基調のインテリア & ナッパレザーシート → 上質で優しい空間
- BOSEプレミアムサラウンド & パノラマルーフ → 長距離ドライブがさらに楽しくなる装備
- 欧州プレミアムSUVより200〜300万円安い → 圧倒的なコストパフォーマンス
というような、夢の詰まった車なのです。
だから登場時は世間の期待値も高かった。それなのに、未完成な部分が散見されたので、みんな裏切られたような気分になって酷評が始まったと。
しかしながら、度重なるソフトウェアアップデートや、リアスタビライザーの交換対応などによって徐々に改善されました。さらに、先日発売された2025年モデルでは大幅に改良されていると聞きます。僕はまだ新型には乗れていないので、今回はあくまでも「初期型オーナー」としてのレビューです。
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購入価格と支払計画についてはこちらの記事にまとめました。購入ご検討中の方は、ぜひご参考にどうぞ。ただし、僕が購入したときより値上げされているので、価格については最新のものをご確認ください。
▶ CX-60と暮らす|最上級「Premium Modern」を購入。グレード選びの背景、価格・支払計画まとめ。
CX-60、2年所有後のリアル
それでは、ここからは実際の走りやデザイン、インテリアについて、2年間乗ったリアルな感想を掘り下げていきましょう。以下のような流れで進めます。
走り
- 力強い直6ディーゼル → 踏み込めばトルクが炸裂
- 気持ちのいいワインディング & 高速道路 → 運転の楽しさが味わえる
- 雪道でも安定した走り → AWDの安心感
- 段差が多い場面では課題も → 市街地や首都高では気になる挙動
- 燃費は優秀、しかも軽油 → コスト面でも魅力的
- ADASは十分だが、もうひとつの場面もある → 低速時のステアリング操作がイマイチ
エクステリア
- 流麗なエクステリア → どこから見ても美しいフォルム
- ギラギラとした高級感、でもオラつかない → 絶妙なバランスのデザイン
インテリア
- 優しさに包まれたインテリア → 白基調の上質な空間
- ホワイトのナッパレザーシート → 触れるたびに感じる高級感
- ファブリックのダッシュボード → ユニークで洗練されたデザイン
- 開放的なパノラマルーフ & BOSEサラウンド → ドライブの楽しさを最大化
走り:トルクフルでスポーティー
力強い直6ディーゼル
CX-60の最大の武器は、やはり3.3L 直列6気筒ディーゼルエンジン + 48Vマイルドハイブリッドによるパワートレインでしょう。ディーゼルならではのトルクの太さと、直6のスムーズな回転フィールが合わさり、アクセルを踏み込むとまるで大きな波に乗るように加速していく。
特に低回転域のトルク感が絶妙で、ちょっと踏んだだけでスルスルと前に出る感覚がクセになる。信号待ちからの発進も、高速の合流もストレスがなく、必要なときに必要なトルクを引き出すことができる、素晴らしいエンジンです。
このエンジンの真価が発揮されるのは、街乗りではなく郊外や高速道路です。そのトルクの太さゆえに、長距離ドライブでも疲れにくいんですよ。たとえば、横浜から長野への片道300kmほどのロングドライブを頻繁にやっていますが、なぜか全然疲れません。
気持ちのいいワインディング & 高速道路
郊外に出てワインディングを攻めるようなシーンは、まさに「走りのCX-60」が本領を発揮する場面です。フロントミッドシップ(に近い)レイアウト + FRベースのAWDのおかげで、SUVとは思えないほどの安定したコーナリング性能を発揮します。
FRらしく、カーブの途中でアクセルを踏み増すと、驚くほどすんなりと曲がっていきます。2トンほどの巨大なSUVなのに、そんなこと忘れさせてくれるほどスポーティーな走りを体現してくれます。ただ、家族がいるとそんなに攻めた走りができないので、果たしてSUVにそんな性能が必要かは不明。
そして、高速道路ではまさに「無敵」です。大袈裟な表現に聞こえるかもしれないけれど、CX-60で高速を走ったらその意味が分かると思います。特に、120km/h巡航でもエンジン回転数は2,000rpm以下と、ディーゼルのトルクを活かして余裕のある走りができるし、追い越し加速も余裕です。
雪道でも安定した走り
AWDの恩恵は、雪道でも大きいです。スタッドレスタイヤを履かせた状態での冬のドライブでは、発進時のスリップも少なく、坂道発進でも安定感があるように感じました。ただ、僕は雪国に住んでいるわけではないので、過酷な環境で運転できていない点はご容赦ください。
ただ、凍結路が広がっていた奥日光、豪雪地帯のスキー場、除雪が間に合っていない高速道路などを走るような場面においては、危険に思う場面は一切ありませんでした。こんな感じの路面ですね。
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CX-60の雪道性能については、さまざまな環境で試してきました。北国のスケートリンクのような凍結路面は未経験だけれども、これまで危ない場面はありませんでした。詳細はこちらの記事を。
▶ CX-60と暮らす|雪道性能を検証。特別豪雪地帯・黒姫高原を走る。
▶ CX-60で行く、雪の奥日光ロードトリップ〈前編〉 〈後編〉
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スタッドレスタイヤの購入・運用についてはこちらの記事でまとめましたので、ぜひご参考に。僕はフジオンラインで購入して、ディラーに持ち込んで取り付けてもらいました。使っていないタイヤは首都圏の自宅マンションで保管しています。
▶ 本格的な冬が訪れる前に! 冬タイヤ購入・運用指南と首都圏マンションでの保管方法
▶ CX-60と暮らす|妥協のないスタッドレスをフジで購入し、ディーラーで装着
段差が多い場面では課題も
一方、段差の多い道路ではCX-60の弱点が顔を出します。
たとえば、首都高K1横羽線の高架区間。橋桁のジョイント間隔が短く、頻繁に段差を越える場面では、後輪からの突き上げがかなり気になります。前席であってもかなり揺られて発狂しそうになるので、後席に乗っているとどんな思いをするのでしょうか…
そして、地方(特に雪国)にある一般道の路面はガタガタに波打っていることが多く、そういう場所を制限速度で通過するような場面においても、振動がダイレクトに伝わってきます。もう少しマイルドになってくれるといいのですが、初期型ではこれ以上の対策は難しいのだろうな。
というように、路面が綺麗な道路では全く気にならないのですが、都市部の高架道路や荒れた路面ではこの乗り心地の硬さが気になることもあります。ただ、繰り返しフォローしておくと、運転の楽しさと天秤にかけたときに、僕にとっては楽しさの方が勝っています。なので、ここまで乗り続けてきました。
燃費は素晴らしい、しかも軽油
ここまでのトルクと走行性能を持ちながら、燃費も優秀なのがCX-60の強みです。この記事を書いている時点ではスタッドレスタイヤを履いているので、体感で2〜3割ほど燃費が低下していますが、サマータイヤだとかなりいいです。
具体的には以下のような感じ。これはデータを取ったわけではなく、オーナーとしての感覚値なので、参考程度にお願いします。
- 街乗り:14〜16 km/L
- 高速巡航:18〜20 km/L(状況によっては30 km/Lに迫ることもあります)
- 郊外(ワインディング含む):15〜17 km/L
そして、軽油なのでランニングコストも低いのがポイントです。CX-60のタンク容量は58Lなので、満タンにするとこんなに差が生まれます。これが毎回ですからね、塵も積もれば何とやら。(単価は記事執筆時点でgogo.gsに掲載されている全国平均価格を掲載)
種類 | 単価 | 満タン |
---|---|---|
レギュラー | 180.4 円/L | 10,463.2 円 |
ハイオク | 191.7 円/L | 11,118.6 円 |
軽油 | 159.4 円/L | 9,245.2 円 |
このサイズ・パワーのSUVで燃料代を気にせずに済むのは、やはりディーゼルの恩恵が大きいです。CX-60の前に乗っていたCX-5のときからディーゼルなのですが、これに慣れてしまうと他のエンジンは躊躇してしまいますね。マツダから乗り換えられない体になってしまった。
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年間の維持費については、こちらの記事もあわせてご覧ください。2023年の年間維持費についてまとめた記事ですが、2024年も同じような感じでした。
ADASは十分だが、頼りない場面もある
運転支援(ADAS)は、全車車速対応のレーダークルーズコントロールとレーンキープアシストが付いており、機能としては十分です。高速道路を流している分には全く問題なく、車線の中央を維持しながら快適に制御してくれます。以前のCX-5ではカーブでジグザグに走行してしまうな不安定な挙動だったのですが、CX-60はステアリングの切れ角を緻密に制御しており、ドライバーとしても安心して任せられます。
ただ、渋滞時のレーンキープには課題があります(レーダークルーズは問題なし)。全車速対応なので10km/hくらいで走っているときもレーンキープが有効になるのですが、直線的な道路でもジグザグに走行したり、車線の左側に寄ったり、結構不安定な場面に遭遇するのです。それを修正する方が疲れるので、渋滞中はレーンキープアシストを切っていることが多いです。ここはもう少しがんばってもらいたい。
エクステリア:何度でも見惚れる美しさ
流麗なエクステリア
CX-60のエクステリアデザインに関しては非の打ち所がないでしょう。SUVの力強さとエレガンスが共存した仕上がりになっていて、街中を走っていると目を引いていることを実感する場面も多いです。特に、納車された直後はCX-5のオーナーさんからガン見されることが多かったし、今でも結構見られます。(そして、僕もCX-60が走っていたら目がいってしまう)
特に、ロジウムホワイトプレミアムメタリックの塗装は光の当たり方で見え方が変わるのが特徴で、日中の強い光の下ではシャープな白色に、夕方の薄暗い時間帯ではまるでシルバーのように見えます。曇天の下で柔らかく光っているのも素敵。
また、FRレイアウトゆえのロングノーズ・ショートデッキのバランスが美しい。僕は斜め後ろから見たCX-60に惚れて購入を決断したのですが、今でもずっと見ていられますね。その角度からも、ロングノーズのプロポーションのよさが際立っています。
ギラギラとした高級感、でもオラつかない存在感
CX-60のデザインが素晴らしいのは、ただ高級感があるだけでなく、それが「押しつけがましくない」ことにあると思います。
よくあるプレミアムSUVや高級ミニバンは、クロームを多用したギラギラ系のデザインや、大きなフロントグリルで威圧感を出す方向に行きがちです。でもCX-60は、そういった要素を控えめにしつつ、「静かな存在感」 を持っているのが特徴。
フロントグリルのメッシュパターンは細かく上品で、クローム加飾も程よいバランス。リアに関しても、欧州車のようなまとまりのあるデザインで、テールランプの形状がシンプルながらもシャープ。オーナーとしては、街中で映えるけど決して悪目立ちしない、この絶妙な立ち位置が気に入っています。
また、ホイールデザインもポイントのひとつです。Premium Modernの切削ホイールは、スポーティさと高級感のバランスが取れていて、オーナー目線で見ても「これ以上の選択肢はない」と思えるほど。最近のSUVはブラックアウトされたホイールを採用することも多いですが、CX-60のこのホイールデザインは「質感を感じさせる」方向に振っているのがいいですね。
インテリア:運転するたびに噛み締める空間
優しい雰囲気に包まれるインテリア
インテリアに関しても、CX-60は一貫して派手さよりも質感を重視したデザインになっています。特にPremium Modernのインテリアは、他のSUVにはなかなかない優しく上品な雰囲気が漂っています。
LexusやBMWといったプレミアムブランドのような派手さはなく、それとは異なる方向性の高級感。Volvoと似たような雰囲気ですね。実際、Volvo XC60と比較検討する人が多いとディーラーで聞きます。XC60よりも200〜300万円安くこのインテリアが手に入るの、めちゃめちゃお買い得と思いませんか?
また、使い勝手のよい配置ゆえの機能美があり、ドライバーを中心に据えた「人馬一体」の思想が、インテリアからもひしひしと伝わってきます。ステアリングに正対したとき、自然に足を延ばした場所にアクセルとフットレストがある。センターディスプレイのコントロールはタッチではなく、手元のコマンダーで。エアコンは手元を見ずに操作できるように物理ボタン。
このように、使い勝手と質感を徹底的に磨き上げたインテリアなのです。こんな車が600万円で買えるって、安すぎるよ。もっと上げてもいいと思う。上げないでほしいけど。
ホワイトのナッパレザーシート
シートはホワイトのナッパレザー製です。さらさらとした触り心地で高品質なシートです。
座り心地も絶妙で、適度な柔らかさとホールド感があり、長距離ドライブでも快適。長時間座っていても腰が痛くならないんですよね。CX-5に乗っていたときは、3時間を越えると腰とお尻が痛かったのですが、CX-60ではなぜかそんなことがありません。
Premium Modernは、シートヒーターとベンチレーションも標準装備。これらはエアコンの設定温度と室内の状況に応じて、自動で調整されます。なお、後席はシートヒーターのみでベンチレーションはありません。
ただ、ホワイトのレザーシートはやっぱり汚れやすいです。特に、運転席の外側は乗り降りのときに強く擦れるので、汚れが付きやすいですね。最初のうちはシートクリーナーできれいに落ちていましたが、2年が経った今では完全に落とすのは難しい。
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納車当時、たったの1か月で色移りが発生したので、シートクリーナーで落としました。このときはきれいになったのですが、今ではこの部分の黒ずみが進み、同じクリーナーでは落とせなくなってしまいました。
▶ たったの1か月でジーンズの色移り!? 新車の白レザーシートをクリーナーで掃除してみた。
ファブリックのダッシュボード
ダッシュボードのファブリック素材は、最初に見たとき「SUVのインテリアでここまでやるのか?」と驚いた部分のひとつです。通常、このクラスのSUVではウッドパネルやピアノブラックの加飾が主流ですが、CX-60は「織り目のあるファブリック」を採用。
この素材の何が良いかというと、光の当たり方によって表情が変わるのがおもしろいのです。日中は柔らかい光を反射してナチュラルな雰囲気を出し、夜になると室内のアンビエントライトと相まって、落ち着いた高級感を演出してくれます。また、生地の中にさりげなく光沢のある糸が織り込まれているので、光が当たると美しく輝きます。
ただ、汚れるのが不安であんまり触れないですね。もちろん防汚処理はされていると思うけれども、迂闊に触ると汚してしまいそうで恐ろしいです。白い生地だから余計に。
パノラマルーフの開放感
開放的な車内空間を作る要素として、パノラマルーフも大きなポイントです。昼間は明るく開放的な空間を楽しめるし、夜は星空を見ながらドライブする楽しみもあります。特に、信号待ちでふと見上げると、夜空が綺麗に見えるのが気に入っています。
また、このパノラマルーフは完全に固定されているわけではなく、前半分は開けることができます。換気したいときとか、外の空気を感じたいときに開ければ開放感抜群で、気持ちよくドライブすることができます。
そして特筆すべきは、Premium Modern / Premium Sportsの両グレードにおいては、これが標準装備なんですよ。某高級車メーカーは20万円くらいのオプションにしているけれど、MAZDAは標準装備。全然負けてないよ。
BOSEプレミアムサラウンドシステム
CX-60のBOSEプレミアムサラウンドシステムは、もともとこだわり抜かれた純正オーディオをさらに高次元に押し上げた仕上がりになっています。特に、専用ウーファーを含む12スピーカーが奏でる音は素晴らしく、どのような音楽も気持ちよく聴けるのが特徴です。
また、BOSE AUDIOPILOT2を搭載しており、走行中の雑音をモニタリングして音楽が快適に聴こえるよう調整してくれます。車はどんなイヤホンやヘッドホンよりも音楽を楽しめるガジェットですからね、音楽にしっかり没入できる環境が整っているのは大きなメリットです。
あ、ちなみにこのBOSEプレミアムサラウンドシステムも、多くのグレードに標準装備です。太っ腹すぎませんか、MAZDAさん。
2年乗って変わった印象
2年も乗ると、最初は気になっていた部分が慣れてくることもあれば、逆に最初は気になっていなかったけど「やっぱりダメだな」と思う部分も出てきます。この車と向き合ってきた中で、感じ方が変わったポイントを整理してみます。
足の硬さは最初は気になっていなかった → 気になるようになった
実は、納車当初は足の硬さは全然気になっていなかったんです。むしろ直前まで乗っていたCX-5よりも上質な乗り味にアップグレードされて、かなり満足していました。リアスタビライザーも対策品に交換され、よりよくなったように思っていました。
しかし、慣れとは恐ろしいもので、この乗り味が当たり前になってくると粗探しをしてしまうんですよね。その結果、冒頭の「狂いそうになる」という発言に繋がります。硬いという評判も相まって、僕自身もそういう目で見てしまって、確かに後輪が硬いと思うようになりました。
ただ、後輪からの突き上げが気になる場面があるというだけでして、ずっと気になるわけではありません。気になっているのは、体感で総走行時間の1割にも満たないと思います。
とはいえ、この硬さは走りを楽しむための味付けだと思っています。ある種の割り切りかもしれませんが、CX-80に試乗したときにすっと腑に落ちたんです。CX-80はクルーザーのような上質さに振り切っている一方で、CX-60にはスポーティーな味付けを施したのだと。
パワトレのギクシャク感 → 度重なるアップデートで気にならなくなった
CX-60の弱点だったのはトランスミッションとアイドリングストップなど、パワートレインまわりです。当初から気になっていて、納車1か月のファーストインプレッションでも指摘しました。気になっていたのは以下の2点。
- 低速域のトランスミッションのギクシャク感
- 走行中のアイドリングストップからの復帰の挙動
これらは度重なるソフトウェアアップデートで制御の熟成が図られ、今では全く気にならなくなりました。特に前者については、ドライバーとしても丁寧なアクセル操作を心がけるようになると、非常に滑らかに走ることができます。
MT免許の人なら理解できると思うけど、この車はトルクコンバーターレスATなので、発進時は自動的に半クラ状態になります。それに協調するつもり(つまり、MT操作の右足だけをやるイメージ)でドライバーがアクセルを操作すると、非常に滑らかに走ることができます。
ただし、おそらくトランスミッションだと思いますが、停止間際にガチャガチャと音が鳴っているのは頂けませんね。ハードウェア的な問題のようで、ソフトウェアアップデートでは改善していません。ただ、試乗したCX-80では解消していたので、2025年モデルのCX-60では直っていると思います。
車体の大きさ → 慣れる!
あとは、サイズが大きいということでしょうか。大きいかなと思って購入しましたが、やっぱり大きかったです。ただ、これは慣れます。(妻からは大きくて運転できないと苦情を頂くので、夫婦で共用する予定の方はお気をつけください…)
CX-60のサイズは、全長 4,740 mm × 全幅 1,890 mm × 全高 1,685 mm。かなりギリギリのサイズを攻めてきたのは否めず、正直に言って日本で扱うにはこれくらいが限界かもしれません。ただ、このサイズゆえの高速道路での安定感だと思うので、乗り心地と使い勝手とのトレードオフですね。
実際の使い勝手という面では、商業施設の機械式駐車場では横幅1,900mm制限の場所が多くあり、ギリギリ収まります。しかし、設計が古めの駐車場だと通路も駐車枠も狭いので、かなり気を使います。おかげで壁際ギリギリを攻める技術が向上しました。360°カメラは必須です。
もちろん、このサイズで既にマンションのパレットに入らない方もいらっしゃると思うので、限界を超えていると言われればそれも一理ありますね。うちは平面駐車場なので問題なく止められていますが、自宅に止められるのであれば、あとは慣れるだけだと思います。
総評:クセは強いが、結局この車に乗り続けている
CX-60に乗り続けて2年。その間にリコールやサービスキャンペーンが何度も入り、ソフトウェアがアップデートされ、リアスタビライザーも交換され、オーナーなのにベータテスター気分を味わったこともありました。
それでも、僕がこの車を手放さなかったのが答えです。正直、乗り換えたくなった瞬間も何度かありました。でも、それ以上に「この車じゃないとダメだ」と思う瞬間が多かったのです。
「CX-60を選んでよかった」と思う瞬間
高速道路やワインディングの気持ちよさ
- 直6ディーゼルの豊かなトルク感とFRベースのシャシーが生み出す、SUVとは思えないスポーティな走り。
- 2トン近い車重を感じさせない軽やかなコーナリング。
- 「走る楽しさ」をSUVで実現している希少な1台。
どこから見ても美しいエクステリア
- シンプルかつ流麗なボディライン。
- ロジウムホワイトのボディカラーは光の当たり方で表情を変え、飽きがこない。
- 2年経っても、駐車場でふと振り返って「やっぱりカッコいいな」と思うデザイン。
インテリアの質感と落ち着いた空間
- 白基調のナッパレザー、ファブリックのダッシュボード、ウッドパネルの組み合わせが生む、優しい雰囲気。
- 乗るたびに「いい車に乗っているな」と思える上質な空間。
- 静粛性も高く、BOSEサラウンドシステムと相まって長距離ドライブが心地よい。
燃費の良さとディーゼルの経済性
- 高速巡航では20km/L近くを記録し、軽油のおかげで燃料代も安く抑えられる。
- このサイズ・パワーでこれだけ経済的な車はなかなかない。
「CX-60を売りたくなる」瞬間
段差の突き上げがキツい場面
- 首都高K1横羽線を走るたびに「発狂しそう」になる後輪の硬さ。
- 2年経っても、ここは改善してほしいポイント。
車幅の大きさが気になる場面
- 都内の狭い道では気を使うし、駐車場のサイズを選ぶ。
- ただ、これは慣れの問題で、乗り続けていれば「まあこんなものか」と思えるようになった。
結論:CX-60に代わる車がない
CX-60は間違いなく「クセ」がある車です。それでも、この車を降りる理由がないんですよね。
直6ディーゼルハイブリッドが発生する十分すぎるトルク(エンジン550Nm + モーター153Nm)に加え、リア駆動を基本とした信頼性の高いAWDシステム。エレガントで質の高いエクステリアやインテリア。そんな車が600万円で買える世界観。これら全てのバランスを備えたSUVは、他に見当たらないんじゃないか?
もしCX-60を手放すのなら、次の車は「走る楽しさ」「デザインの美しさ」「SUVとしての実用性」「現実的な価格」を全て兼ね備えたものでなければならない。そんな車、他に見当たりません。
だから僕はまだまだCX-60に乗るつもりです。こんな夢の詰まった車を世に出してくれたマツダに感謝しつつ、次に乗りたい車が見つかるまで、この車を堪能したいと思います。とはいえしばらく出てくる気配がないので、初回車検を通して乗りますよ。