また不具合か…と思っちゃうよね。
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CX-60、楽しいし満足してるけど…
CX-60に乗り始めて、まもなく3年が経とうとしています。
この3年間、内外装の品質の高さに大満足してきました。ふと街中のガラスに映り込んだCX-60を見るのが楽しみだし、移動時間ずっと美しい内装が目に入るから、そのたびに買ってよかったと思っています。
そして、走りの楽しさにも頷かされています。3.3L直6ディーゼルターボ+モーターの贅沢な構成は、パワー不足を感じることは全くありません。どんな場面においても十分なトルクを発生してくれて、思い通りの走りを実現してくれる。大変頼もしい車です。
一方、作り込みの甘さゆえの不具合も、いくつか遭遇してきました。いちばん焦ったのは、高速道路走行中にエンジンが再始動せずに急いで路肩に寄せた事件。
ハイブリッド車だからモーターだけの走行時はエンジンが止まるのですが、加速するときは本来はエンジンが再始動します。この再始動がうまくいかずに、アクセルを踏んでもスカスカになったんです。しかも3車線の東名の右側(渋滞気味)、という最悪の状況。
できるだけスピードを落とさないようにしながら、急いで2車線を跨いで路肩に止めたのでした。直後にディーラーに見てもらったけど、結局このときは根本解決せず、おそらくその後のソフトウェアアップデートで解決しています。
そのときの記事がこちら。軽井沢に1泊して、その帰りのできごと。止まったときは、「犬も乗ってるのに、こんなところで帰れなくなったらどうしよう」の一心でした。
▶ CX-60が入院になりました
▶ CX-60が1日で退院しました




今回はステアリングの不具合
そして、今回はステアリングに不具合が発生しました。要約するとこんな感じ。
- ステアリングのセンター付近で引っ掛かる感覚がある
微妙な角度調整ができず、「動かない → 一気に動く」という挙動。 - 特に高速道路で顕著
直進中の微調整が難しく、修正舵が増えて疲れる。 - ADAS使用時も同様の挙動
アシストが効いていてもカクカクした動きが残る。 - 大きく切った後の戻り方向にも違和感
ステアリングを切って戻すときに引っ掛かり、耐えきれなくなると「カクッ」と一気に戻る。
最初に違和感を覚えたのは1か月ほど前でした。片側2車線の道を60km/hくらいで直進しているときに、ステアリングの微調整をしにくい感覚があったんです。センターに妙な引っ掛かりがある。「あれ、なんかおかしいけど、気のせいかな?」と、この時点ではそう思いました。
疑惑が確信に変わったのは、その翌日。妻の実家で法事があったので、1泊2日で長野に行ったんです。犬と一緒だから車で向かったのですが、気になっていた引っ掛かりが高速道路では顕著に現れてきたのです。速度が上がるとステアリングをより微調整するようになるけれど、それが全然できない。
というのも、ステアリングをセンターから微妙に動かすとして、普通ならじわーっと動かせるはずなのに、引っ掛かるから、ぐっと力を込めると一気に動いてしまう。結果として、センター付近でカクカクとした操舵になってしまう。
まさに、以前CX-60界隈で話題になっていた「ハンドルカクカク問題」そのものです。マジかよ…こういうことだったのか…
一般道の速度域だと、高速道路ほどシビアなステアリングの微調整が必要ないから、気づいてなかったのかもしれませんね。高速道路を走ったことで、はっきりと認識できるものになりました。
回そうと思えば回るから致命的ではないかもしれません。しかし、高速道路におけるステアリング操作のほとんどを微調整が占めるのに、それがやりにくいというのは結構疲れます。ADASをオンにしてもステアリングはカクカクのままで、不安になる動きは変わらず。
その後は少しずつ悪化していき、センターだけでなく、交差点などでステアリングを切って戻すときにも引っ掛かりを感じるようになりました。特に右に切って戻すときに、力を加えないと戻りにくくなることがしばしばありました。
言葉では説明しにくいけれど、本当なら何の抵抗もなくスルスル〜とスムーズに戻り始めるじゃないですか。それなのに、しばらく切ったままで引っ掛かり、タイヤが戻ろうとする力に耐えられなくなって、一気に30〜45°くらい飛ぶように戻るような現象。
さすがにおかしいので、ディーラーの担当さんに相談して、先ほど入庫してきました。ほんと、いろいろと不具合が発生する車です。プラットフォームから新規で起こしているから、ある程度は仕方がないのでしょうけど、さすがに多すぎないか…?
ステアリングギアボックスを丸ごと交換する対応
メカニックさんに見ていただいたところ、ステアリングギアボックスを丸ごと交換する対応となりました。ステアリングギアボックスとは、ステアリングの操作を左右のタイヤに伝える重要な部品。
以前このステアリングギアボックス中にあるスプリングを交換するリコールがありました。スプリングが強すぎて、必要なグリスが流れ出てしまうという不具合です。僕の車もそのリコールは対応済みなのですが、どうやらそれだけでは不十分だったようで、今回は対策品に丸ごと交換することになりました。
このリコールのメーカー資料が分かりやすいので引用すると、右上にある「電動パワーステアリングギアボックス」と書かれた青いパーツ、これをそっくり交換します。なかなかの大物です。

僕の車の場合は保証範囲内で、無料で対応していただけることになりました。ただ、これがなかなか大掛かりな作業で、サブフレームを一度下ろす必要があるとのこと。分解から組み付け、その後の確認と、熟練のメカニックが1日がかりで行う作業となるそうです。
そのため、直近ではなかなかスケジュールが空いてないらしく、少し待つことになりました。細切れだと空いてるけれども、1日まとめてとなると結構先になるみたい。なんやかんや調整して、結局12月末の車検のときに一緒にやっていただけるように、ねじ込んでもらいました。
暫定処置として、グリスを塗ってもらった
対応完了まで1か月半くらいあるから、それまでの暫定処置としてグリスを追加で塗っていただきました。流出していたのか左右で量が偏っていたようで、バランスを見ながら塗っていただけたとのこと。
その結果、めちゃめちゃ滑らかになりました。カクカクしていた部分だけでなく、全体の動きもスルスルと軽くなりました。こうして比較してみると、今までいかにステアリング全体が重たかったかを実感します。
もちろん、いつ再発するかは分かりません。それでも、ひとまずこの状態で安心して運転できるようになりました。
マツダブランドの価値とは?
ひとつの不具合として見れば、部品を交換して終わりかもしれません。でも、600万円を出して ”MAZDA CX-60” という体験を買っているのに、それが損なわれている状況は、やっぱりよくない。
そして以前から言ってるけど、見切り発車で発売してユーザーでベータテストをやる姿勢も、よくない。今売られているモデルは直っているのだろうけど、本来は最初からその状態で出すべきでした。
僕はただの移動手段としてCX-60を買ったわけではなく、「この車を運転する時間」そのものを買っていると思うんです。ステアリングを握ったときの静かな重み、アクセルを踏んだ瞬間に感じる直6のトルク、上質な内装に包まれる時間。それら全部が「CX-60という体験」を形作っています。
だからこそ、その体験を損なう不具合は単なる機械的なトラブル以上の問題です。600万円という価格の中には、品質や性能だけでなく、「ブランドが約束する体験」も含まれている。その体験が削がれてしまう状況は、オーナーとして正直もったいないと感じます。
とはいえ、ディーラーの対応は丁寧で、責任を果たそうとしているのは伝わってきます。今回のギアボックス交換で本来のハンドリングが戻ってくるなら、それがいちばん嬉しい。そしてその先に、ようやく「CX-60という体験」が完成するような気がしています。
もう納車から3年が経とうとしてるけどね。ブランドを背負うなら、体験の完成度までちゃんと作り切ってほしいところです。








