初めて訪れる場所。
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週末に那須高原へ
4月の土日。なんでもない週末を少しでも特別なものにしたくて、1泊2日で那須高原に行ってきた。都心の殺伐とした空気から離れ、自然の中に繰り出しておいしい空気を吸い、温泉で疲れを癒しながら、体の芯から非日常を味わう。そんな贅沢な週末を過ごしたかった。
とはいえ、1日目の午前中は国営ひたち海浜公園でネモフィラを見るという欲張りな旅程を組んだので、お昼すぎまでひたちなかにいた。それから3時間ほど下道を走り(高速を使っても遠回りなのであまり時間は変わらないのだ)、那須入りしたのは午後3時を過ぎた頃。
→ 青一色に染まる丘を見に、国営ひたち海浜公園へ。
→ 国営ひたち海浜公園はチューリップもきれいでした
ともに旅をしたカメラは〈FUJIFILM X-T200 + FUJINON XF18-55F2.8-4 R LM OIS〉のセット。α7 IIIも持っていたけれど、那須高原はFUJIFILMの色で撮りたかった。フィルムシミュレーションはクラシッククロームだ。
一路、那須高原展望台へ
ホテルのチェックインは午後6時にしていたので、とりあえず那須高原を車で走ってみることにした。初めて訪れた場所だから些細なことにも新たな発見があり、ただ街に繰り出すだけでも十分に楽しいのだ。
とりあえず、自然の豊かな場所だから高いところから全体を眺めてみよう。そう思ってやってきたのは那須高原展望台。道のそばにちょっとした駐車場と展望台があるような場所だ。
僕は旅行に行く前は必ずと言っていいほど現地の地図を眺めることにしている。自分で運転するから俯瞰的な地図を頭の中に叩き込んでおきたいという目的もあるけれども、地図を眺めて「こういう場所かな、それとも——」という風に想像するのが楽しい。
この展望台も想像を膨らませていたのだが、いい意味で裏切られた。僕は根が九州人なので、山の中の展望台と言われると、緑色の葉で生い茂った木々の間に展望台があるような場面を思い浮かべてしまう。しかしこの場所は、見てのとおり枯れ木の中にあった。
しかも穏やかな天気で、最高の眺めじゃないか。だからいい意味で裏切られたのだ。
展望台の横には階段があり、一段下まで降りられるようになっていた。さらにその先には階段があって、麓の方までつながっているようだ。
この先どうなっているのか気になったので数段降りてみたが、それ以上進むのはやめておくことにした。300mほど進むと滝があるようだけれど、山道の300mは大変な気がするし、そんな覚悟も装備も持ち合わせていなかったのだ。
日が傾きはじめて光の角度がちょうどよかったので、しばらく展望台の上でカメラで遊んでいた。すぐそばには、普段はあまり見ないような植物(高原植物?)があり、太陽にライトアップされて幻想的な雰囲気になっていた。
FUJIFILMのカメラはその場の空気感を写真の中に封じ込めてくれるからいい。人を撮っても、動植物を撮っても、風景を撮っても、ただ目の前にあるものを描写するだけではない。まるでその場の気温や人の感情など、とうてい写真では伝わらないと思われがちなものまで、1枚の写真の中に封じ込めてくるのだ。
そんなことを考えていると、路線バスがやってきた。こんな山の上まで公共交通機関だけで辿り着くことができるんだ。お客さんは2人。この先には休暇村、ロープウェイ、登山口くらいしかないけれども、そのお客さんのためにきちんとバスが運行されている。
さらに上へ
展望台の上にも道が続いているので、車で行けるいちばん上まで行ってみることにした。翌日の朝にこの場所を上空から見ることになるのだが、そのときは駐車場が車でいっぱいだった。おそらく登山する人々がこの駐車場に車を止めるのだろうけど、このときは午後4時くらいだったので車も人もまばらだった。
東京では暖かくなり始めた4月中旬に訪れたのだが、那須高原は寒い。最低気温は0度近く、最高気温も15度程度と、まだまだ冬が去っていなかった。この時期でもまだ地面の端の方や山の上にはまばらに雪も残っているということは、真冬ならどれほど寒くなってしまうのか。考えただけでも恐ろしい。
「翌日の朝にこの場所を上空から見ることになる」とは、あのロープウェイのことだ。那須岳の9合目まで一気に上がることができてしまう。登山の装備もスキルも持ち合わせていないのに、こんな山の上にものの5分で登ることができてしまう。すごいことだ。
ただ、あいにくこの日は最終運行に間に合わなかったので、翌日の朝から登ってみることにした。往復で1,800円だが、こんなに素晴らしい場所にあるロープウェイなのだから、きっとその価値は十分にあるだろう。
大丸園地には廃墟が
先程の場所から少し下った大丸園地には謎の廃墟がたくさんあるエリアがあった。もとは温泉(旅館?日帰り温泉?)だった施設がいくつかあり、どれも放棄されて廃墟と化していた。今は誰もいない静かな場所であるが、かつては賑わっていた時代があったのだろうなあ。
このあたりは雪が積もるだろうから、朽ちていくのもきっと早いのだろう。往時の面影もなく、コンクリートは崩れ、ガラスは割れ、そこかしこに草木が生い茂る。あとは、静かに建物が崩れていくのを待つだけ——。そんな儚さにどこかわくわくしてしまう。
この場所はさっきの展望台より高い場所にあるから、相変わらず景色がいい。空が開けているから星もきれいなんだろうなと思ったが、廃墟に囲まれた場所を夜中に訪れるのはちょっと怖い。この日の夜は星を見ようと思っていたのだが、夜はあいにく雲がかかってしまい、一面の星空というわけにはいかなかった。
ホテルに向かうと、牛がいた
午後6時が近づいてきた。この旅では「自然とふれあうこと」に加えて「温泉に浸かってのんびりすること」も目的にしているから、あまり頑張りすぎないことが重要だ。今日の散策はこれくらいにして、ホテルに向かおう。
予約していたのは、ホテルフロラシオン那須。牧場を通り抜けた先にホテルがあるから、道路からホテルの入口に入っていくと牛がいた。こんなに大群で見るのは初めての経験だったから新鮮だ。思わず車を止めて興奮のまま無心でシャッターを切ってしまった。
さて、無事にチェックインできた。1泊2食付きのプランにしたから、明日の朝までのんびりするとしよう。ご飯も楽しみだし、温泉も楽しみ。
自然に囲まれたこの那須で、こうして山の空気を味わい、動植物を愛でるという非日常を噛み締める。体の中に沈殿している都心の空気を丸ごと入れ替えて、リフレッシュするんだ。
後半はこちら
つづきはこちらから。2日目は、ロープウェイで那須岳の上に登り、アートビオトープで水庭を見学した。1日目以上に非日常的な日になった。
→ 那須高原の週末・後半|大地を踏みしめ、自然の偉大さを実感する