見たことのない景色は、まだまだいっぱいある。
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那須高原、2日目
1日目は、朝から国営ひたち海浜公園でネモフィラとチューリップを見て、そのあと移動して午後3時くらいに那須高原に着いた。展望台でのんびりしたり牛を観察したりなど、都会では到底できない体験をして、胸がいっぱいになったところでホテルに向かった。
そして2日目。
起床は午前7時。もう少し早く起きて温泉に入りたかったけれど、前日の長距離ドライブのせいで睡眠を優先せざるを得なかった。距離にして250km、時間にして5時間も運転していたんだ。今日もこれから高速を飛ばして帰らないといけないし、あまり無理はしないようにしよう。
手早く身支度をしてホテルで朝食を頂く。オムレツを目の前で作ってくれるタイプのホテルで、朝から職人技に感心しきりだった。そのあとチェックアウトを済ませ、車に乗り込んだのが午前9時すぎ。まずは、昨日乗れなかったロープウェイに向かう。
幸運なことに、今日も朝から快晴。残念ながら牛さんは牛舎に閉じこもっていて見られなかったけれど、2日目を始めよう。
なお、1日目と同様に、〈FUJIFILM X-T200 + FUJINON XF18-55F2.8-4 R LM OIS〉のセットを手に旅をしている。フィルムシミュレーションはクラシッククロームで、全て撮って出しだ。
ロープウェイで那須岳の9合目へ
昨日は下から見ているだけだったロープウェイ。今から60年ほど前、1962年に開業した那須ロープウェイに乗ると、ものの4分足らずで那須岳の9合目(1,682m)にワープすることができる。すごいな。
運賃は往復で1,800円。乗る前はちょっと高いかなと思ったけれど、実際に上まで行ってみるとその価値は十分にあった。どんな価値があったのか、写真でお届けしよう。
ロープウェイの営業時間は8:40〜16:20で、20分間隔で運行している。意外と頻繁に運行されている印象を抱いた。僕らは9:40の便で登ることになったから、山の上で少し散策して10:20の便で下ることにしよう。
全長812m、高低差294mを3分40秒で一気に登るから、結構なスピードだ。駐車場に止めたCX-5がみるみるうちに小さくなる。
そして、標高1,684m、那須岳の9合目にある山頂駅に着いた。
そこには雄大な景色、おいしい空気、生きている大地が広がっていた。自然は偉大だ。那須岳は火山だからゴツゴツした岩石がそこかしこに広がっている。また、山の上は下と比較して10度ほど気温が低いと聞いていたが、そのとおり寒い。風があまり強くないのは幸運だけど、厚着をしてきてよかった。
登山道は途中まである程度整備されている。本格的な登山はするつもりはないけれども、せっかく来たから少し登ってみよう。4月中旬だというのに、登山道の脇にはまだ雪の塊が残っている。そして、下界では見ることができない高山植物(なのか?)が広がっていた。
登山道は結構な急勾配で、階段も1段の高さが高い。だから登るのはそれなりにハードだ。しかし、目の前に広がる雄大な自然の景色のおかげで、大変さなど全く感じなかった。
左を向けばこんな景色が広がっている。極めて非日常な光景に気持ちは高ぶり、疲れなど微塵も感じさせない。ほんと、いいところに来たものだ。これを見るためなら往復1,800円はとても安いと思えた。
のんびり10分少々かけて登って標高1,718mの分岐地点にやってきた。登山道がそれなりに整備されているのはここまでで、これより上は文字通りの「登山」となる。カジュアルな格好では危険な雰囲気を感じるので、ここで引き返すことにしよう。
次のロープウェイまでまだ時間があったので、もう少し留まることにした。こんな非日常な景色は頻繁に体験できるものではないから、しっかりと記憶に刻み込んでおこう。しかし本当にすごい景色だなあ。少しアメリカの記憶と重ねつつ思っていた。
登り始めた当初は寒かったのに、厚着をしたまま運動したおかげで少し汗をかいてしまった。この界隈は全くの無知だけれど、きっと、登山する人の装備は寒さにも発汗にも対応できるようになっているのだろう。
現地でも少し思って未だに正解が分からないけど、この場所で突然目の前の山が噴火したらどうすればいいんだろうか。運を天に任せるしかないのか。そうなる確率は限りなく低いと思うけど、なんだか無用な心配をしてしまう。
さて、下りのロープウェイの時間(10:20の便)も近づいてきたので、このあたりで帰ろう。本当にいい場所だった。紅葉もきれいらしいので、次は秋に来たいと思っている。
アートビオトープの水庭を見学
午後11時。「アートビオトープ那須」にやってきた。
アートビオトープとは、ホテル、ダイニング、工房などからなる施設。アーティストが長期間滞在し、那須の自然に触れながら思う存分自分の作品創りに集中できる環境を提供することを目的としている。アーティスト以外も宿泊可能だ。
そして、アートビオトープは完成以来アップデートを繰り返している。2018年には隣接する敷地に水庭とレジデンスがオープンした。その水庭は、宿泊客以外にも開放することを目的に、平日は午後2時の1回、土日は午前11時と午後2時の2回、見学会を行っている。見学だけなら1人2,970円、事前予約が必要だ。
で、今回は午前11時の見学会を事前に予約していたので、時間どおりにやってきたというわけ。
開始までテラス席でお茶のサービスがあった。また、早い者勝ちでクッキーを1つもらえた。また、シールを服に貼って見学するそうだ。
待っている間は中庭に飾られたギャラリーを見学する。
午前11時。見学会が始まった。
まずはテラス席で10分程度、アートビオトープの目的や成り立ち、水庭を建設することとなった経緯など、背景的な説明を受ける。
水庭がある場所は、もともとは水田、そのあとに牧草地となった場所。隣接した敷地に新たにレジデンス(ホテル)を建設する際に、木を伐採せずに植え替えることで誕生した。デザインしたのは、建築家の石上純也さん。どの場所から見ても木が重ならず、人工物であることを感じさせないような配置になっているそうだ。
関東は春になってるけれども、ここは高原なのでまだ冬の気温だ。だから、水庭に植わっている木々は全て枯れ木だった。夏に来れば緑がうっそうと茂っているのだろうけど、今はすかすかで、水庭の反対側まで見通せてしまう。また夏に来たいな。
枯れ木が並んでいる状況であっても、苔や花々など、元気に育っている植物たちもいる。もともとは地面一帯を苔で覆うことを計画していたそうだが、思ったよりも植えた苔たちが定着せず、現在は池の周囲に生えるのみとなっている。
見学時間は30〜40分程度が標準的とされていたが、結局1時間もいてしまった。今回は緑が少なくて寂しかったので、夏頃に再訪したい。でもきっと虫がいっぱいいそうだなあ。
石窯パンを食べて、帰路へ
お昼の時間になった。前日に現地のコンビニで買ったガイドブックを見て、石窯パンというものが気になったので、アートビオトープから車で10分程度の「NAOZO」というお店にやってきた。
お店の真ん中には大きな石窯があり、そこでパンを焼いているようだった。ちょうどあと5分程度で焼きたてのベーグルが出てくるということだったので、せっかくならと少し待機することにした。あとから調べたところによると、タイミングによっては全て売り切れていることもあるみたいだ。焼きたてに遭遇できたのは幸運だった。
5分くらい待って、焼きたてのベーグルが出てきた。あずき、きなこ、アプリコットオレンジ、プレーン、紅茶の5種類が出てきたが、アプリコットオレンジが気になったので、2人でこれを食べてみることにした。ちなみに、あとから来たお客さんたちによって、残っていたベーグルも5分程度で売り切れてしまったのであった。
店内にはイートインスペースがあるので、買ったばかりの焼きたてパンをそのまま頂くことができる。せっかくなので、ここで食べていくことにした。
明日は平日で普通に仕事なので、少し早めに帰路につくことにしよう。ここでパンをいただいて、どこかのカフェでゆっくりしたら、高速に乗って川崎へ。自分たちの都合で好き勝手に旅ができるのは、マイカーで来たことの大きなメリットだろう。
自然の偉大さと触れあった旅
この2日間、といっても那須高原に滞在したのは24時間程度だが、これまでに見たことのない「自然の偉大さ」に触れることができた。もちろん自然を体感するために那須高原という場所を選んだのだが、その目的は十分に達成された。
たとえ1泊2日であっても都心の喧噪から離れて自然と触れあうことで、日常生活の中ですり減った心が随分と回復した。疲弊してしまう前に定期的に回復させてあげないと大変なことになるだろうから、自分で自分のご機嫌をとるための旅に出るというのは大切だ。
さて、次に行きたい場所もいくつかあるのだが、またコロナの感染者が増えてきているのでゴールデンウィークは大人しくしておこうと思っている。次の旅に出るまでは、非日常に心のよりどころを求めるのではなく、日常生活の中で自分自身のご機嫌をとりにいきたい。