走りの楽しさは変わらない。
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MAZDA CX-60が納車されてから、気づけば3年が経ちました。先日、車検も無事に終わり、これからも当面は乗り続けるつもりでいます。
2年乗ったときに長編レビューを書いており、CX-60に対する思いはあまり変わっていません。でも、このタイミングで改めてレビューを書こうと思ったのは、むしろ、大きな不満もなく評価が崩れないまま時間が過ぎていることに、少し驚いたからです。
車は、時間が経つほど評価が分かれます。最初はよく見えていたものが色褪せることもあれば、逆に、じわじわと価値が浮かび上がってくることもある。
僕にとってのCX-60は、後者でした。今回は「3年」という時間を通して見えてきた、この車の輪郭を、できるだけ丁寧に言葉にしてみます。
2年乗ったときに書いたレビューはこちら。意図せず長編となってしまったので、読むのに時間かかります。お時間あるときにでもぜひ。
▶ CX-60と暮らす|2年乗って分かった魅力と弱点【長期レビュー】

僕が乗っているCX-60
まず始めに、僕が購入したCX-60の仕様をお伝えしておきます。グレードはXD-HYBRID Premium Modern、色はロジウムホワイトプレミアムメタリック。
直列6気筒ディーゼルエンジンにマイルドハイブリッドを組み合わせたグレードで、購入当時の乗り出し価格は600万円を超えていました。内容を考えると割安と思えるけれど、高いものは高い。
ちなみに、現時点の走行距離は32,000kmあまりです。3年間の走行距離としては普通であり、平均的な乗り方かなと思います。

「走りがいい」という評価を、別の言葉で言い直す
CX-60の走りについては、これまで何度も書いてきました。直6ディーゼルのトルク感、高速での安定性、余裕のあるパワートレイン。事実として、そこは今も変わっていません。
高速道路での合流や追い越しで、「踏めば大丈夫だろうか?」と考える必要がほとんどありません。勾配や積載量、同乗者の人数によって、挙動を読み替える場面も少ない。どんな場面でも踏んだら必ず応えてくれるという信頼があります。
つまり、運転が意思決定の連続にならないのです。「あれ、行けるかな?」ではなく、とりあえず踏んでおけば行ける。大排気量・大トルクの車に乗ると疲れない理由はここにあります。一度乗ると離れられないね。
早朝・深夜の移動、長距離ドライブの後半。そういった場面ほど、この余裕に助けられていて。目の前の運転だけに集中しておけばいい。余計な心配をしなくていい。これは、日常で使う車として、そして遠出する車としても、とても大きな価値だと思います。

高速移動時のフラットライドは特筆すべき
僕の場合は、遠出するときは必ずと言っていいほど犬を連れているので、車移動の方が楽なんです。だからCX-60で高速道路に乗る機会がかなりあります。
そういうときによく思うのは、高速移動時のフラットライドが特筆すべきものであること。タイヤが宙に浮いているのかと思えるほど、雲の上を走っているかのようにスムーズに進んでいく。
もちろん、路面のうねりや段差を魔法のように消してくれるわけではありません。継ぎ目を踏めば、その入力はきちんと伝わるし、荒れた路面ではそれなりに揺れます。ここは誤魔化さない車です。
一方、アスファルトのきめが細かく舗装がきれいな区間では、車体がほとんど上下動せず、ただ水平のまま前へと滑っていく。タイヤが転がっているというより、車全体がすーっと移動している感覚です。
エンジンは低回転で余裕を残し、車体はフラットな姿勢を保ち、ステアリングも余計な修正舵を必要としない。内装の優雅さも相まって、とても心地よい空間になる。
誤解してほしくないのは、接地感がないということでは決してありません。路面をしっかりと掴んでいる感覚はありながら、安定した姿勢で高速巡航できるんです。
高速道路のきれいな区間、特に新東名を120km/hで淡々と流しているとき。本当に雲の上を走っているような気分になります。これは一度味わったら戻れないね。

ワインディングでは、まるでスポーツカー
そして、山道も楽しい。高速道路のフラットライドと同じくらい、ワインディングの楽しさにも価値があります。
正直に言うとCX-60は軽快なSUVではありません。車重は2トン近い。でも、ワインディングに入った瞬間、この車の設計思想が見えてきます。
縦置き直6、後輪駆動ベースの四輪駆動。コーナーの進入でブレーキを残し、ステアリングを切る。フロントが過剰に入り込むわけではない。でも、車体全体が塊として向きを変えていく。
フロントだけが曲がるのではなく、リアも含めたボディ全体が、じわっと旋回していく感覚。これがとても自然です。と書いたものの、最近前輪駆動ベースの車に乗っていないので、もはやこの動きが僕の中で当然のものになりました。
そしてコーナーから抜けるときにアクセルを踏み込むと、太いトルクで押し出してくれる。モーターのアシストも極めて自然で、存在を意識させません。エンジンとモーターが合わさり、余裕のトルクで加速していく。
先日もビーナスラインを走ってきました。これまで何度も書いてきたけど、CX-60はSUVの形をした大きなスポーツカーなんですよ。カーブを曲がっていくのが気持ちいい。
CX-60に乗っていて、ワインディング期待を裏切られることは、まずありません。アクセルを踏めば踏むだけ加速していくし、ステアリングを回せば回すだけ素直に曲がっていく。こんなに楽しい車があっていいのだろうか!

街中で大きな車を運転するということ
高速やワインディングと同様に、街中でも走りはいいのは間違いありません。でも、正直デカい。
特に狭い道では取り回しに苦労することがあります。ということを納車4か月後にも書いたのですが、今でも同じことを思っています。要するに「CX-60はサイズが大きくて運転しづらい?」と聞かれたとき、間違いなくYesと答えます。現場からは以上です。
とはいえ、3年間で一度もぶつけていません! ——と書いた思い出したけど、東京駅の駐車場でホイールを擦ったことがありました。でもこれは冬用タイヤの安ホイールであり、純正ホイールじゃないのでノーカンです。
数値をもとにお伝えすると、CX-60のサイズは全長 4,740 mm × 全幅 1,890 mm × 全高 1,685 mm。街にある立体駐車場は全幅制限1,900mmになっていることがあり、そこにはギリギリ入ります。だから目的地で車を止められなくて困るような経験はゼロ。
しかし、これだけの幅があるのは事実であり、狭い道でのすれ違いはかなり気を使います。近所の狭い道にはできるだけ入りたくありません。それは素直に認めます。小さな車に乗っていたら気にも留めない部分に惑わされている。
でも、このサイズがないと上記の高速移動時のフラットライド感は出ないのでしょうね。トレードオフだから仕方ありませんね。

雪道でも安定した走り
冬になると、妻の実家がある長野へ帰省する機会が増えます。標高の高いエリアでは、路面に雪が残っていることも珍しくありません。これまで何度か雪道を走ってきましたが、CX-60はそのような場面でも安心感のある車でした。
当然ですが、前提としてスタッドレスタイヤは装着しています。そのうえで感じるのは、この車の落ち着きです。
発進時に無駄なホイールスピンが起きにくい。アクセルを踏み込んだときも、急にトルクが立ち上がるのではなく、じわっと押し出していく。直6ディーゼルのトルクは太いのに、荒々しさがありません。扱いにくさは皆無。
そして、CX-60は後輪駆動ベースのAWDですが、雪道では前後のトラクション配分がいいのか、車体全体がひとつの塊として、静かに前へ進む。坂道発進でも慌てることがありません。
もちろん過信しているわけではなくて。いくら車の制御が効いていても、スタッドレスタイヤがグリップしていることが前提となるから、アイスバーンでは慎重になる必要はあります。でも、不安を煽るような挙動は一度もありませんでした。
スキー場の駐車場で旋回するときも、唐突な姿勢変化は起きない。山道で圧雪路を下るときも、ブレーキを強く踏み込まなくてもエンジンブレーキで穏やかに減速してくれる。ディーゼル特有の強めの減速感も、冬道では頼もしく感じます。
四駆性能が派手に宣伝されているわけではないのに、しっかりとした性能を持っているのがCX-60です。基本はノーマルモードで走りつつ、不安になる場面はオフロードモードにすれば、より安定した走りを引き出せます。

発売当初の評価と、今のCX-60の狭間にあるもの
実際問題、CX-60は多方面で語られすぎました。
特に発売当初の乗り心地や制御に関する評価は、今も強い文脈として残っています。ただ、オーナーとして感じるのは、評価の時系列が混線したまま語られているという違和感です。
初期モデルたる僕の車も、納車当初はトランスミッション制御などに違和感がありました。しかし、ソフトウェアアップデートや対策を重ねることで、印象はかなり変わっています。さらにリアショックアブソーバーの交換も行われ、現在は初期モデルの粗さはなくなりました。
ここまでのアップデートは全て無償対応でした。完成された状態で発売に至らなかったことは残念ではありますが、メーカーとして誠実な対応をしていただけたと思っています。ここについてオーナーとしてこれ以上指摘をするつもりはありません。
そのため、少なくとも2026年時点において、新車で売っているCX-60は問題を抱えた車ではありません。そのうえで課題を感じるのであれば、それはマツダ車の乗り味が合わないだけだと思います。そう感じるなら、他メーカーを選ぶのが自然かな。
また、初期モデルの中古を買ったとしても、現行モデルほどではないにせよ、無償でアップデートしてもらえます。少なくとも僕のCX-60と同等にはなるはずです。
重要なのは、過去の評価と現在の状態が、検索結果の中で混ざっていることです。これから検討するなら、過去の全ての経緯を含んだ評判よりも「その車両が今どういう状態か」を見る必要があります。要するにちゃんと試乗して、自分に合うか確かめてみよう、ということです。
内外装のよさを噛み締める
CX-60の内装は、質感が高いと評価されがちだし、僕もそう思っています。
この豪華な内装が日常の一部となったので、納車当初の高揚感こそなくなりました。しかし、噛み締めるほど味が出るとはこのことで、乗るたびに満足しています。本当にいい車に乗っているということが、単純に嬉しい。
特にPremium Modernの場合、その内装を一言で表現すると「優しい高級感」だと思っていて。派手な演出や未来感はありません。その分、流行に引っ張られにくく、時間が経っても古さを感じにくい。だからこそ、今でも安定して満足できているのだと思います。

そして外装。以前から書いているとおり、CX-60は斜め後ろからの眺めが至高。
余計なキャラクターラインを排し、ボディ造形と印影でもって高級感のあるエレガントな見た目になっている。それでいてギラつかず、オラつかない上品なデザイン。山道の展望台に止めて、夕日を受けたCX-60を眺めるのが至福のときです。
ロジウムホワイトプレミアムメタリックというボディカラーも美しい。目に飛び込むような白さはなく、これも優しい色です。光が強く当たると白く、影になっている部分はシルバーのように見える、不思議な色です。

上位グレードに乗っているからこそ残る違和感
一方で、正直に書いておきたい違和感もあります。上位グレードも下位グレードも一括りで「CX-60」とで語られてしまう点です。
自分は600万円を超える金額を払っている。でも世間的には、300万円台前半のグレードと同じ車として扱われる。このギャップに、もやっとする瞬間は確かにあります。
これはCX-60の完成度そのものというより、マツダの売り方の問題だと思っています。高い買い物をした人に対して、こんな気分にさせてはいけないですよね。
プレミアムブランドを目指すのなら、こういう売り方に疑問が残るし、別に目指していないのなら、そもそもCX-60/80のような車を出しちゃいけないんじゃないかな。確かにディーラーは黒くてかっこいいんだけど、ラインナップがプレミアムじゃありません。
だからこそ、次はちゃんと高級ブランドを買った方がいいのだろうなと思っています。車そのものの価値だけでなく、その車を所有することから生まれる文脈も大事だと思っているような人は、ちゃんとお金を積んで高いものを買うべきだと学びました。

リセールと向き合うという現実
BMWやメルセデスなど、高価格帯の車にありがちな値下がりではありませんが、CX-60も正直リセールはよくないです。
僕は5年の残クレで購入しましたが、3年時点で下取りに出しても残債を回収できないので、初回車検前の買い替えはやめました。なので大人しく5年間乗るつもりです。
でも、リセール価格の維持は、ブランディングを含めたメーカーの努力だと思っていて、その努力不足をユーザーが肩代わりするのは違うよね。
そのため、短期間で乗り換える前提だと、判断が難しくなる場面はあると思います。一方で、長く乗るつもりであれば、リセールの波は精神的に受け流しやすくなります。
CX-60は、「とりあえず買って、合わなければすぐ売る」という付き合い方とは相性がよくありません。どう付き合うつもりかを、購入前にある程度決めておくことが、この車では特に重要だと感じています。

まとめ|3年間変わらなかった、走りに対する評価
振り返ってみると、CX-60に対する評価はあまり変わっていないなと。つまり、「運転が楽しい!」というコアな部分はずっと一緒。納車直後から、直6ディーゼルの余裕や高速での安定感に素直に満足していました。
一方で、発売当初ゆえの制御の粗さがあったのも事実です。当時はアップデートしてもらえるかどうかも分からない中で、この車を買ってよかったのか、疑問に思う瞬間も確かにありました。
その後、ソフトウェアのアップデートや足回りの対策が進み、気になっていた部分が整ってきました。走りの本質が変わったというよりも、全体のバランスが落ち着いた感覚。ここからは、頭の中に浮かんでいた疑問も自然と減っていきました。
そして3年が経った今。いいところも、気になるところも、すべて含めてこの車の性格だと理解しています。全てはバランスの上で成り立っているのです。だからこそ、過度に期待することも、過度に失望することもありません。
3年という時間を通して振り返ったとき、コアな部分の評価が大きく崩れていないというのは、やはりひとつの答えだと思っています。
納車直後の高揚感で「いい車だ」と言うのは簡単です。でも、その感情が落ち着いたあとも、なお日常の中で違和感なく付き合えているかどうかは、また別の話です。
新東名を流しているときも、ビーナスラインのコーナーを抜けたときも、近所の狭い道で気を遣っているときも。そして、洗車後に改めてボディラインを眺めたときも。「ああ、この車でよかったな」と思う瞬間が、まだちゃんとある。
リセールはよくないし、ブランディングにも思うところはあります。次に何を選ぶかも、まだ分かりません。でも少なくとも今は、この車に不満を抱えながら乗っているわけではない。
3年が経ってもなお、評価が安定している。それが、今の僕なりの結論です。








