ふと思い出したこと。
この記事には広告が含まれています。
2004年、高校生の頃。アミュプラザ長崎のタワレコに、ミスチルの『シフクノオト』を買いに行ったことを覚えている。
確か予約したんだっけな。当時は外出そのものに慣れていなかったし、お店の人と話すのもたどたどしかったから、きっと不審者みたいに見えたのだろうね。
それでも予約票を手渡してCDを受け取り、お店を出て、橋を渡って帰る。タワレコの黄色い袋を手に持ちながら歩いた光景は、なぜか鮮明に記憶に刻まれている。
家に着いてパッケージを開け、おそらく当時使っていたパナソニックのミニコンポで鳴らしたのだと思う。細部はもう曖昧なのに、その袋を持って帰る光景だけは、不思議なほど記憶に焼き付いている。
後になって(5年以上経っていただろうか)、桜井さんが配信に踏み切らない理由について語ったインタビューに触れた。雑誌だったかテレビだったか忘れてしまったけれど。
でも、覚えているのは、「CDを買うという体験まで含めて、音楽という物語として楽しんで欲しい」ということ。
はっとした。ああそうか。お店に足を運び、緊張しながらCDを手に入れる。その体験そのものが、すでに「音楽」だったんだと。
サブスクが全盛になった今、もう僕はお店でCDを買うことがない。次の世代は、「ちょっと緊張しながらCDを買う」なんてことを知らずに育つのだろうか。
社会が便利になるにつれて、自分の記憶に鮮明に刻まれている経験が、当たり前のものではなくなっていく。そうやって少しずつ、世の中の常識というものが変わっていくのだろうね。
ちょっとした変化も、見落とさないようにしたい。そんなことを考えている。