早いね。もうこんな時期。
いきなりですが、僕は薬剤師国家試験を2回受けました。2015年の第100回、それから2016年の第101回、の2回。要は言ってしまえば、1回目は舐めてかかってボコボコにされただけなのですが、2回目は反省を活かして無事に受かりました。
つまり、1年前の自分と2年前の自分を振り返ることで、受かるやり方と落ちるやり方の両方が分かるわけです。それを自分の中だけに留めておくにはもったいない気がするので、次に受ける方々のために、このへんで一つまとめておきたいと思います。
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もくじ
あと4か月もある!?
第102回薬剤師国家試験は2017年2月25日・26日の2日間。つまりあと4か月を切っているのです。あと16週。16回目の週末が本番。どう? 実感沸きますか?
今の時期は国立大の方々は卒論発表などで忙しくしている頃だと思いますが、できるだけ早く勉強を始めた方がいい時期。遅くとも11月中には本気の勉強モードに入りたいところです。
とはいうものの、この時期から始めれば受かります。
国立薬学部に在籍している人はそれなりの大学入試を掻い潜ってきた頭を持っているので、この時期から始めても受かるポテンシャルは十分にあります。というか普通に受かります。
ただしこれは真面目に勉強した場合の話。僕みたいに舐めてかかると痛い目見ますよ、と脅しておこう。ちなみに僕も国立薬学部の出身。大学名は伏せます(が、他の記事を読めば大方の予想はつくかな)。
大原則、体調管理を万全に。
最近だんだん寒くなってきましたが、まずは風邪など引かないように気をつけましょう。本番はもちろんですが、普段の勉強中も風邪を引いているとなかなか十分なパフォーマンスが出せません。
しかも長引いたりすると、それだけ時間を無駄にしてしまうことになるので致命的です。薬剤師国家試験の勉強は本番までの期間にどれだけ知識を詰め込めたかが重要なので、時間との戦いなのです。
まずは基本ですが、マスクの着用やうがい・手洗いの徹底などなど。薬剤師国家試験を受けようとしている人なら、正しいやり方、知ってるよね…?
インフルエンザの予防接種もしておきましょう。できるだけ人混みに行かないことも重要です。また、タミフル(オセルタミビル)などの抗インフル薬は予防投与もできます。心配なら本番直前に処方してもらうのもいいでしょう。
意外と気を抜きがちなのが、本番の会場内での感染予防
僕は1回目の国試のとき、本番で風邪をうつされました。確証はないけれど、本番会場以外では万全の対策をしていたので、おそらく1日目の会場内で感染したのだと思います。というのも、2日目の午後から鼻水が滝のように流れてきて試験どころではない。集中できなすぎて計算問題を放棄するレベル。
この経験から得られた教訓は本番の会場内で風邪をもらわないように気をつけるべきだということ。考えてみれば当たり前だよね。講義室の中に数十人〜数百人レベルで一日中缶詰にされるのだから、何人かは風邪を引いていても不思議ではないのです。
だからその人たちから風邪をもらわないように、会場内でもしっかりとマスクをしておきましょう。毎時間の問題配布前に受験者本人かどうか写真と照合されるのだけど、そのとき以外はマスクの着用も認められているからノープロブレム。
全9科目に対して戦略的に時間を割り振ろう。
繰り返しますが、本番まであと16週。計画的に勉強すれば時間は十分にあるけれど、適当に掻い摘まんでやっている時期ではない。
暗記科目を繰り返し勉強して記憶の定着を図るには、結構な時間と労力がかかるものです。もちろん人にもよりますが、僕みたいに暗記が苦手で何回もやらないと覚えられない人は早めに始めましょう。
科目によっても勉強のしかたは違います。薬理のようにひたすら覚えるだけの科目もあれば、病態・薬物治療のようにストーリーを理解するのが大切な科目もある。求められる勉強法が違えば、16週間の戦略だって変わってくるはずです。
物理・化学・生物
この3科目はひっくるめて1科目として扱われます。が、勉強量はまるまる3科目分です。ただし、物理は薬剤とつながるし、生物は病態・薬物治療とつながるので、必ずしも時間の無駄だというわけではありません。
物理は公式の暗記が中心だと思われがちですが、その公式がどのような場面でどのように使うのかなど、周辺のストーリーも理解しておく必要があります。そういう意味ではちょっと厄介な科目ですね。
化学はひたすら暗記です。構造式の命名法から始まり、転移反応・脱離反応といった反応パターンの暗記、しまいには生薬まで食い込んできます。しかも他の科目との関わりも薄い。僕は捨てていました。最低限だけ押さえて、あとは物理と生物で点を稼げばいいのです。
生物はストーリーを理解するのが重要な科目です。もちろん、その中の登場人物は覚える必要がありますが、ストーリーがあるので意外とすんなり入ってきます。僕はあまり苦労しませんでしたし、高得点を狙いに行くべき科目だと思います。
衛生
範囲が広すぎて意外と大変なのがこの科目。「衛生」と1科目の枠に収まっていますが、内容は多岐に渡ります。食中毒、感染症、人口統計、疫学、化学物質の代謝と毒性、放射線、生活環境、廃棄物、などなど。
しかも暗記が中心で、量も莫大です。少し勉強しただけでは点数は伸びません。僕は最後まで苦労しました。だから最初のうちから繰り返しやるべきです。
薬理
暗記科目の最たるもので、ストーリーなんて全くありません。呪文のような薬の名前、その作用機序、適応となる疾患、この3つを関連づけて覚えていく必要があります。
はっきり言って苦痛です。でもやらなければいけないのだから、戦略的にいきましょう。オススメは、単元ごとに分けずに全体を何周もする方式。眺めているだけでは頭に入らないので、アウトプットを繰り返すことが大切です。青本を使うのであれば、各単元の問題も解きましょう。
薬剤
この科目も暗記が中心。でも物理とのつながりもあるし、ある程度はストーリーもあるので、そこまで大変な思いはしないかもしれません。
薬剤でキモとなるのは何と言っても計算問題。苦手にしている人も多いかもしれません。こればっかりは、公式を覚えて問題量をこなすしか道はありません。
病態・薬物治療
疾患ごとにストーリーを理解して頭に入れていく作業の繰り返しになります。例えば腎性貧血では、腎臓の機能低下によるエリスロポエチン分泌能の低下 → 赤血球の分化が促進されないので赤血球量が減少 → 貧血が起きる → 治療としてエリスロポエチン製剤(エポエチン)を投与、といった具合。疾患の起こるメカニズムとそれにより影響を受ける検査値、およびその治療法・治療薬をストーリー立てて覚えていきます。
疾患のメカニズムで生物と、治療薬で薬理と、それぞれつながりますので、この3つの科目を俯瞰的にみて勉強するといいでしょう。薬理が苦痛になったときの気分転換にもなります。
法規・制度・倫理
これも暗記科目ですが、薬理のように呪文が並んでいるわけではないので、僕は思いの外すんなりと覚えられました。ただし、ちょっとした言葉の言い回しで大きく意味が変わるので、細かいところもしっかりと覚えましょう。
例えば、「許可」と「承認」の区別だったり、許可を出す人物が「厚生労働大臣」なのか「都道府県知事」なのか、など細かいところを覚えていく作業になります。人によっては苦痛かも。
実務
投与量や血中濃度など、覚えることはありますが他の科目ほどヘビーではないです。薬理を10とすると1〜2くらい。どちらかというと、本番中に考えて答えを導き出すような科目です。
だからといって勉強しなくていいというわけではなく、青本には一通り目を通しておきましょう。
受かるスケジュール、落ちるスケジュール
これから年末年始にかけて誘惑の多い時期になりますよね。クリスマス、忘年会、お正月、などなど。僕は1回目の国試のとき、年末年始に勉強量がぐっと落ちてしまいました。お正月くらい勉強せずにゆっくり過ごしてもいいじゃん、と。
でもそれは大きな間違いです。絶対的な勉強時間が少なくなってしまうというのももちろんですが、ブランクができてしまうというのがとっても大きな問題。12月末まで勉強していても、ブランク期間でかなりの知識が抜け落ちてしまいます。年が明けて勉強を再開するときには、思い出す作業から始めないといけない。これはかなりのロスでしょう。
だから今の時期に計画を立てて予定表を作っておくといいかもしれません。「全く勉強しない日」を作らないように。嫌いな科目や苦痛に感じる科目にも時間を割きましょう。
生活リズムの維持も大事
勉強しているうちに、少しずつ生活リズムが狂っていくことがあるかもしれません。夜中に勉強して朝から寝る、みたいな。これも1回目の反省点なのですが、僕の場合は、夜型の生活になってしまうと睡眠時間が長くなる傾向にありました。朝5時頃に就寝して昼過ぎに起床すると8時間くらい寝ることになります。
2回目は反省を活かし、規則正しい生活をすることを心掛けました。特に頭が冴えている午前中に集中力を必要とする科目(例えば病態・薬物治療のようなストーリーを理解する必要がある科目)を重点的にやると効果的かもしれませんね。
得意な科目を伸ばすか、苦手な科目を克服するか。
皆さんも模試を受けて、自分の得意科目や苦手科目を把握していることでしょう。そこで問題となるのは、得意な科目を伸ばすべきか、苦手な科目を克服するべきか、という点です。人それぞれやり方はあると思いますが、僕は苦手な科目を克服する方に重点を置くべきだと思います。なぜなら、得意な科目は意識しなくても自ずと伸びるからです。
得意科目は一回だけですんなりと覚えられるものですが、苦手科目は時間をかけて何回もアウトプットをしないと頭に入りません。だから意識して何回もやらないといけない。そういう意味で、重点を置くべきなのは苦手科目の克服なのだと思います。
どうにもならない部分を戦略的に「捨てる」というのもアリだと思います。あまりオススメはしませんが。捨てた分を同じ科目の別の分野で回収する必要があるので、リスクとベネフィットを天秤に掛けて判断しましょう。僕は生薬を捨てて生物で回収しましたが、回収できる自信がないとうまくいきません。
満点を目指す必要なんて無い。
気にしないといけない基準は、必須問題の足切り70%と総得点の約65%です。必須問題の各科目の足切り30%はあってないようなものでしょう。これに引っかかるようなら必須合計70%も厳しいラインですからね。
また、前回(第101回)から導入された相対評価もどうなるか未知数です。第101回の場合は直前での導入となったので65%の基準が色濃く残っていましたが、第102回では相対評価を前提とした問題作りがされているかもしれません。これに関しては蓋を開けてみないと全く分かりません。
いずれにせよ確実に言えるのは、満点を目指す必要は無いということ。合格ラインを超えた人は全員合格なので、高得点を狙いに行く必要すらありません。
しかしながら、その合格ラインが動く可能性があるので、自分が受験者の中でどの位置にいるのかということは、模試などで常に意識しておきましょう。上位1/3に入っていればひとまず安心かな。
必須問題で点数を稼ごう
必須問題の3秒で解けるような問題と、理論問題の3分かけて考えるような問題。どちらも同じ1点なのです。だったら必須問題90問でできるだけ点数を稼いだ方が得策だと思いませんか?
そのためには暗記科目をしっかりと覚えていく必要があります。なぜなら必須問題は考える余地などなく、知っているか知らないかで勝負が決まるからです。
まとめ
まずは模試の結果と真摯に向き合って、自分には何が足りないのか、どうすれば点数が伸びるのか考えましょう。その上で本番までの計画を立てることが大切。あと16週、正直言って相当きついけれど、この先これほど勉強する機会はもう無いはず。16週後に後悔することのないよう、戦略的にいきましょう。
敵は巨大です。それはもう、ありえないほど。1回目の僕みたいに、舐めてかかったら必ず痛い目を見ることになりますよ。今ならまだ間に合うから、皆さんがそうならないように願っています。
※ 合格後の申請手順についてはこちらにまとめています。
【薬剤師免許】申請してから届くまでの流れをまとめてみたい。 – starnote*
2016年12月29日追記:続きを書きました。