こんなに簡単だったとは…!
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RAW × Lightroom × フィルムシミュレーション
FUJIFILMユーザーの皆さん、「LightroomでのRAW現像時にFUJIFILMのフィルムシミュレーションを当てることができる」って、知ってました?
もしかしたら有名な話かもしれませんが、お恥ずかしながら僕は知らなかったんです。FUJIFILMデビューして2年弱くらい、フィルムシミュレーションを当てるにはJPEG撮影しか道はないと思ってました。
JPEG撮影でフィルムシミュレーションを当てる場合、カメラ内でどれかひとつを選択しないといけません。つまり、例えば「クラシッククローム」と「クラッシクネガ」を同時に撮影することはできないのです。
しかし、RAW撮影した上でLightroomでフィルムシミュレーションを当てると、全てのフィルムシミュレーションモードを試すことができます。さらに、少々撮影時にミスしたとしても、RAW現像時に挽回でき、その上からフィルムシミュレーションを当てることができます。
一方、後述しますが、カメラ内で生成されたJPEG(フィルムシミュレーション処理)とは微妙に色味が異なります。でも、RAW現像で各種パラメーターを調整できるアドバンテージがあるので、JPEG撮って出しとは別のメリットがあるのも事実。
この記事では、Lightroomでのフィルムシミュレーションの当て方と、出力される画像に焦点を当てて解説します。
もくじ
Lightroomでフィルムシミュレーションを当てる方法
フィルムシミュレーションを当てるのは、Lightroom Classic CC、Lightroom CC、どちらにも対応しています。
ただし、
- FUJIFILMのカメラで撮影された写真にのみ対応
- 撮影したカメラが対応しているフィルムシミュレーションしか当てることができない
この2点に注意してください。
つまり、例えばソニーのカメラで撮影したRAW画像をLightroomに取り込んで、FUJIFILMのフィルムシミュレーションを当てることはできません。また、例えばクラシックネガに非対応のX-T200で撮影したRAW画像に、クラシックネガを当てることはできません。
この記事では、X-T4で撮影したRAW画像をもとに説明します。撮影モードは「RAW+JPEG」で、JPEG画像はクラシッククロームで撮影しています。
使い方:Lightroom Classic CCの場合
使い方はとても簡単です。Lightroom Classic CCの場合、処理したい画像を開いて「現像」モードにします。その後、「基本補正」を開きます。
「プロファイル」の右にある、四角形が4つ並んだアイコンをクリックします。
「カメラマッチング」を開くと——
フィルムシミュレーションの一覧が並んでいるので、使いたいものをクリックするだけです。
使い方:Lightroom CCの場合
ここではiPad版で説明しますが、Lightroom CCでもほぼ同じ操作です。
まずは右側の編集ボタン(3本線のアイコン)をタップし、その後、プロファイルの横の「参照」をタップします。
「カメラマッチング」をタップ。
すると、フィルムシミュレーションの一覧が表示されるので、使いたいものをタップするだけです。
Lightroomでフィルムシミュレーションを当てるメリット
Lightroom上でフィルムシミュレーションを当てることのメリットは、
- 事後的に何種類ものフィルムシミュレーションを試すことができる
- RAW画像をカラーコレクションした後、フィルムシミュレーションを当てて仕上げることができる
この2つでしょうか。
事後的に何種類ものフィルムシミュレーションを試すことができる
カメラ本体でフィルムシミュレーションを当ててJPEG撮影すると、1種類のフィルムシミュレーションしか使うことができません。「このシチュエーションだと、クラシッククロームもクラシックネガも、どちらもよさそう」というような場面で、どちらか1つを選ばないといけないんです。
一方、RAW撮影した画像があれば、Lightroomで処理するときに何種類ものフィルムシミュレーションを当てて試すことができます。
下の写真は、未処理のRAW画像(をJPEGに書き出したもの)、クラシックネガ、クラシッククローム、ETERNAブリーチバイパスを、それぞれ当てたものです。このように、Lightroomで後処理するときに何種類ものフィルムシミュレーションを試すことができます。




カラコレした上でフィルムシミュレーションできる
Lightroomなどのツールを使ってRAW画像を現像するとき、
- カラーコレクション(カラコレ)を行って正しい色味に整えた上で
- カラーグレーディング(カラグレ)を行って自分の好きな色味に持っていく
という流れで行うのがセオリーだと言われています。
Lightroom上でフィルムシミュレーションを使うということは、「2. カラグレ」の部分をフィルムシミュレーションに任せるようなイメージ。その前に「1. カラコレ」を行って撮影時のミスを正すことができるのです。
さらっと書きましたが、これは明らかにJPEG撮って出しに対するアドバンテージでしょう。(そもそも撮影時にミスするなという話かもしれませんが…)
下の画像は、未処理のRAW画像に対してカラコレや傾き補正などを行った上で、クラシックネガを当てています。伊勢神宮の記事で使った写真は全てこのようにして準備したものです。
——とはいえ、デメリットもないわけではないです。
フィルムシミュレーション対決〈カメラ本体 vs Lightroom〉
さて、FUJIFILMのカメラでRAW撮影した画像に対して、Lightroom上でフィルムシミュレーションを当てることができるのは分かりました。
しかし、ここで疑問が生じます。
「カメラ本体でフィルムシミュレーションを当ててJPEG撮影した画像と、Lightroomでフィルムシミュレーションを当てた画像は、果たして同じ色味なのか?」
ということです。
百聞は一見にしかずと言うので、並べて検証してみましょう。下の画像は、左側が「カメラ本体でクラシッククロームを選択してJPEG撮って出しで出力されたもの」、右側が「未処理のRAW画像に対してLightroom上でクラシッククロームを当てたもの」となっています。
特に注目したいのは、
- 空の青さの違い
- 木々のシャドウの処理の差
この2点です。


まず、空の青さが微妙に異なります。JPEG撮って出しよりも、Lightroomで処理した方が暗くなっているような感じです。
それから、木々の暗い部分。JPEG撮って出しはシャドウが潰れている(潰している?)のに対して、Lightroomで処理した方は明るく浮き上がっていますね。
なぜこのような差が生まれるのか?
FUJIFILMの公式Q&Aによると、
フィルムシミュレーションの画質については、富士フイルムが技術協力を行なっています。
との記載があります。
ここからは想像の話ですが、いくら技術協力を行っているとはいえ、カメラ内と全く同じ処理をLightroom上で行っているとは思えないんです。
FUJIFILMのカメラは、その場の状況に応じて、フィルムシミュレーションの処理を1枚ずつ高度に制御していると理解しています。同じような環境で続けて2枚写真を撮っても、その2枚の色味が微妙に異なることがあるからです。
一方、Lightroom上の処理は、単純にフィルムシミュレーションの色味を模したフィルターを当てているだけのように見えます。あくまでも想像ですけどね。
そのため、JPEG撮って出しとLightroomで処理した画像に、少し差が生まれるのではないでしょうか。
特性を理解して正しく活用しよう
微妙な色味の差が生まれるといっても、前述したメリットは明らかにデメリットを上回ります。
なぜなら、「RAW+JPEG」モードで撮影すれば、カメラ内でフィルムシミュレーションが当てられたJPEG撮って出し画像も出力されるため、色味の差というデメリットを打ち消すことができるからです。
「純粋なFUJIFILMの色味」を求めるなら、撮影時の設定を完璧にした上で、JPEG撮って出し画像を採用すればいい。一方、RAW現像で追い込みつつもFUJIFILMの色味が欲しいときは、Lightroomでフィルムシミュレーションを当てればいい。選択肢が多いのはいいことです。
要は、どちらがいい悪いという話ではなく、それぞれの特性を理解して正しく活用するのが重要です。