待ってる間に思考を整理する。
この記事には広告が含まれています。
大宮駅のルミネの3階、スターバックスの端っこの席でこの記事を書き始めた。彼女が髪を切りに行きたい言うので川崎の自宅から車で連れてきて、僕は髪を切るのを待っている間にスタバに転がり込んでiPadでこの文章を書いているのだ。
髪を切ることだけを目的に神奈川から埼玉まで行くのももったいない気がしたので、越谷のイオンレイクタウンでウィンドウショッピングをしてから大宮まで移動した。そして、彼女を送り出したあと、時間を潰している間にiPadでキーボードを叩く。
大宮駅のスターバックスは、仲良く勉強している人、お喋りにふけっている人、暇そうに誰かの帰りを待っている人など、たくさんの人で溢れかえっている。
きっと誰も僕のことを気にしていないだろうけれど、買ったばかりのSmart Keyboard(iPadが浮くやつ)を自慢気に取り出し、おもむろにiPadで文章を書き始める。頭の中に思い浮かんだ文章を、そのまま出力する。
以前、自分の「やりたいこと」と「やるべきこと」の乖離を認めながら生きるのがいいのではないかと書いた。それを書いたのは2019年10月で、今の仕事に就いてからちょうど半年が経ったタイミングだった。
そのときは、〈やりたいこと=ひたすらブログを書くこと〉〈やるべきこと=今の仕事〉であると認識していて、この考えに基づいた文章を書いた。しかしながら、今思い返してみると、仕事をやるべきだと書いたのは、本当はやりたくないことの裏返しでもあったのだ。
本当の自分はやりたくないと言っているのに、「これは社会的に意義のある仕事だから」という大義名分のもとに自分を抑え込みたかった。社会的意義があるのは本当なんだけど、そうやって自分自身を無理やり納得させるために書いたような記事だ。
実際、無理に納得させながら今の仕事を2年あまり続けてみたけれど、そろそろ心がギブアップしようとしている。これ以上続けたら本当に壊れてしまいそうだから、そろそろやめることにしようと思う。
だから、これからは自分の「やりたいこと」と「やるべきこと」の乖離を認めずに生きたい。
このような決意のもとで、5月の後半から本格的に今後のキャリアを考え、自分のやりたい仕事を探し始めた。今の自分にとってやりたいことは何か。確かに、ブログを書いていたいという思いは変わっていないけど、これからも楽しく書きたいので趣味の範囲に留めたい。だから仕事にはしたくない。
考えて考えて、ひとつの結論に至った。それは、僕はドライな人間だから「絶対にこれがやりたい」という熱い想いはなくて、「自分のスキルを最大限活かせること」に喜びを感じるのだろう、ということ。
僕のスキルを最大限活かすことのできる仕事とは何だろうか。その答えを探るためには、自分のスキルの棚卸しをしないといけない。考えてみると、僕には5つの軸があるんじゃないかと思われた(これは上の記事にも書いた)。
- 薬学の全般的知識、薬剤師免許
- 博士としての研究実績
- 英語論文執筆、学会発表の経験
- Adobe Photoshop、Illustratorを使ったクリエイティブ(学会スライドを含む)
- WordPressによるWebサイト運営、Webライティング
今の仕事には1と2が評価されて採用されたし、実際に使っているスキルもこの2つだ。でも僕にはもっとできることがあるから、より多くの軸を使える仕事はないだろうか。
転職エージェントに相談したりしながらたどり着いた結論は、医療×ITをやっているようなヘルステック企業で臨床研究を推進するような立場はどうかということ。なるほど、IT企業にも興味があるし、医療分野におけるIT技術の活用はこれからも伸びそうだし、おもしろそうだ。
臨床研究だから薬学や博士としてのバックグラウンドも活かすことができるし、ブログで培ってきたITに関する知見も掛け合わせつつ、今の仕事で関わっている治験の知識も使うことができるのではないか。このような仮説のもとで転職活動を進めることにした。
実際に選考に進んでみると、先方も僕と同じような仮説を立ててくれていたようで、僕のことを十分に評価してもらえた。これまでの経験を掛け合わせるから、今の仕事よりも大幅に年収も上がることになった。
研究しかやることがない環境に身を置いていたときは研究が嫌いだった。それなのに、いざ離れてみると研究は最高にクリエイティブなことのように思えてきて、また関わりたくなる。皮肉なものだけど、やるべきことが巡り巡って定まるのも悪くないのかもしれない。
自分がやりたいことに対する熱い想いはない。自分の持っているスキルを掛け合わせ、それが上手くハマることに喜びを感じる人間としては、今回の選択はいいものだったと信じている。もうこの道に進むと決めて今の仕事の退職日も決まったから、あとは腹を括って進むしかないのだ。
もし間違っていたとしても、また後で軌道修正すればいい。人生は長いから意外とどうにでもなるし、これまでも興味のある方向になんとなく進みながら生きてきた。だからこれからも、同じように進むだけなのだ。
さて、そろそろ彼女の美容院も終わりそう。大宮駅のスターバックスで1時間程度、筆が進むがままに文章を書き殴ってきたけれど、自分のキャリアについて考えをまとめるいい機会になった。たまにはこういう時間もいいかもしれない。
この文章を書き始めた当初に僕の周りにいた、仲良く勉強している人、お喋りにふけっている人、暇そうに誰かの帰りを待っている人。彼らはすでにいなくなり、今は別の人たちが周りにいる。そろそろ僕もこの場所を離れ、日常生活に戻ることにしよう。