定期的訪れたくなる美術館。
この記事には広告が含まれています。
自然とアートが共存する、ポーラ美術館の魅力
10月末の休日、日帰りで箱根に行ってきました。その目的は「ポーラ美術館」に行くこと。わざわざ訪れたくなる魅力があるのです。
箱根には数多くの美術館が点在していますが、その中でもポーラ美術館は、訪れるたびに新しい発見がある場所です。
この美術館は、単にアートを鑑賞するだけでなく、自然の中に溶け込んだ建築デザインや四季折々の風景を楽しめます。今回は、企画展を堪能し、館内レストラン「アレイ」でのランチも味わおうというプランで訪れてきました。
ポーラ美術館は、まず建物自体が印象的です。
ガラス張りのデザインが特徴で、外の自然光が館内にふんだんに差し込み、まるで自然の中に浮かんでいるような不思議な一体感を味わえます。「箱根の自然と美術の共生」をコンセプトに、環境に寄り添うよう建てられた建築には、太陽の光を感じ、森と共存するための様々な工夫が施されています。
美術館に入るとすぐに感じる静けさと広がりのある空間は、ここでしか体験できない特別なもの。毎回訪れるたびに心が解放されるような感覚があり、この場所の魅力に惹かれてまた足を運びたくなるんです。
穴場のレストラン「アレイ」でリラックスランチ
到着してまず向かったのは、館内のレストラン「アレイ」。
ここは、展示の鑑賞前後に立ち寄るには理想的な静かな空間で、混雑も少なくゆっくりと過ごせる、いわゆる穴場のような場所です。窓から見える箱根の緑を眺めながらのランチは、心も体もリフレッシュできる贅沢な時間。
今回いただいたのは「秋のランチコース」(3,300円)。僕は真鯛のポワレ、妻は鶏もも肉のロティにしました。最初の一口で、次回も絶対に寄ろうと心に決めたね。それくらいおいしいレストランでした。
- きのこと秋野菜のブイヨンスープとフロマージュブランのタルティーヌ
- メインディッシュ(下記より一品)
- 鶏もも肉のロティ じゃがいもときのこのソテーを添えて
- 三重県熊野産 真鯛のポワレ マッシュルームのソースにハーブのアクセント
- レストラン「アレイ」シェフ特製ビーフシチュー(プラス600円)
- グラスデザート:栗のプリン
- パン または ライス
- コーヒー または 紅茶 または ハーブティー
レストランの内装は美術館の雰囲気に合わせたシンプルで落ち着いたデザインで、ガラス越しに見える木々や自然がインテリアの一部となっています。食事をしながら外の景色を楽しめるこの空間は、日常の忙しさを忘れて、ただゆったりとした時間に身を委ねることができます。
食後も、ここでコーヒーを飲みながらしばらく休憩し、東名の激しい渋滞の中運転してきた疲れを取りました。
企画展「フィリップ・パレーノ:この場所、あの空」を体感
さて、腹ごしらえも終わったことだし、展示を見ていきましょう。
チケットを買って、企画展「フィリップ・パレーノ:この場所、あの空」へ。現代フランス美術を代表するアーティスト、フィリップ・パレーノ氏の作品は、光、音、映像を組み合わせたインスタレーションで空間全体を作品として感じさせてくれるもので、まるで異世界に迷い込んだかのような感覚を味わえます。
会場に入ると、静かに流れる音や光の変化がすぐに感じ取れ、現実と非現実の境目が曖昧になるような空間が広がっていました。展示室内の空間全体が展示に溶け込んでいるため、どこに身を置いても異なる感覚が得られるのです。
部屋全体が大きな金魚鉢というコンセプトとなった展示や、映像と音楽そして光が一体となった展示など、これまでポーラ美術館で見たきたような絵画中心の企画展とは一線を画していました。
ただ目で鑑賞するだけでなく、五感で感じることができる展示は、まさに「この場所でしか味わえない体験」そのものでした。
思いがけずゆったりと楽しめたひととき
この日は犬が幼稚園に行っている間に急いで訪れたため、「あまり長居はできないかな」と思っていたのですが、思いがけず時間に余裕がありました。
そのおかげで、企画展をじっくり鑑賞したり、美術館の建物自体や周りの景観もゆっくり堪能することができました。短時間のつもりで訪れた場所でも、少しだけ余裕があると心が開放されて、心地よい満足感を得られるものです。
美術館の周りを散策し、自然に包まれるリフレッシュタイム
展示を見終えた後は、美術館の周囲にある遊歩道を散策しました。
ポーラ美術館の周りには、豊かな自然の中を歩ける遊歩道が整備されており、四季折々の景色を楽しめるスポットになっています。どこからともなく音楽が流れていて、自然の中に作品が置かれていたりなど、ただ自然の中を散歩するだけでなく、この雄大な自然も展示の一部のような演出が美しいです。
この日も箱根の秋らしい風景が広がっていて、展示の余韻に浸りながらゆっくりと歩きました。周囲には木々や美しい植物があり、鳥のさえずりや風の音が心地よく響きます。
歩きながら、ふと「アートを楽しむだけでなく、自然と触れ合いながらゆったりとした時間を過ごすことができる美術館っていいな」と改めて感じました。都会の喧騒を離れて、自然の中で静かな時間を過ごすと、日常の中で見逃しているものがたくさんあることに気付かされます。
展示を見て、レストランで食事をし、自然の中で散策するというこの流れがポーラ美術館ならではのリフレッシュ体験を提供してくれるのです。
ポーラ美術館の建物は特徴的で、地面を大きくくり抜き、そこにできた地下空間に建物を建設しています。
5年がかりの設計で、敷地内の植物生態系や地形、地質、水流の徹底した調査に始まり、できる限り自然環境に影響を与えないために、必要な時間が費やされたそうです。その結果、建物は木々よりも低くなるよう8メートルの高さまでに抑えられ、森に姿を隠すように佇んでいます。
遊歩道を歩いていると、大きくくり抜いた地下空間の中に建物が建っているということがよく分かります。まさに、人工的な断崖絶壁の中に建物がはめ込まれているのです。
建物の周囲を離れ、森の中へと遊歩道は続いています。
その雄大な自然を満喫しながら、ところどころ置かれたアートを探しながら歩く。近くには小川も流れており、巨木にはきのこがたくさん生えていたりなど、じめっとした日本の森です。だけどなんだか、このポーラ美術館の近くにあると、軽やかに足を踏み入れることができる。そんな遊歩道だと思いました。
ポーラ美術館には何度も訪れていますが、この遊歩道まで足を踏み入れたのは初めての経験でした。次回からは必ず毎回訪れようと、そう決心したのでした。
遊歩道はいくつかのルートに分岐し、どのルートを選んでも最終的には駐車場の裏にたどり着きます。
この日はそろそろ犬のお迎えが迫っていたので、最短ルートで散策しました。次回はもっと長いコースで、たっぷりと堪能しようと思います。
美術館と自然を満喫できるポーラ美術館
今回のポーラ美術館では、展示を鑑賞するだけでなく、レストランでの食事や自然散策も楽しみ、心身ともにリフレッシュすることができました。
美術館はアートを楽しむ場であると同時に、忙しい日常から離れて自分を見つめ直すための場でもあると感じます。特にポーラ美術館のように自然と建物が調和し、空間そのものがアートと一体となった場所は、訪れるたびに新しい発見や感動を与えてくれるのです。
もし、箱根を訪れることがあれば、ぜひポーラ美術館に立ち寄ってみてください。アートだけでなく、自然に囲まれた癒しの時間を味わえるこの場所で、日常の喧騒から離れて、特別な時間を過ごしてみるのもおすすめです。ポーラ美術館での一日が、皆さんにも心のリフレッシュとなることを願っています。
ポーラ美術館
自然の中に「埋め込まれた」美術館。環境に対する影響を最小限に留めるために、大きく地面をくり抜いた中に建築されています。絵画を中心に西洋や日本の美術品が収蔵されています。