僕の経験から5つの条件を導きました。
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「働きやすさ」とは?
僕は博士課程修了後に新卒で医薬品医療機器総合機構(PMDA)に入社し、新薬の審査に携わっていました。2年4か月間PMDAで働き、医療IT企業に転職。それから8か月が経過しました。社会人としてはこれで丸3年です。
ほぼお役所なPMDAから民間企業への転職ということで、社内の雰囲気も仕事の進め方も全てが異なりました。その「ギャップ」をどのような部分に感じたのか、2か月時点で記事にしました。
→ 転職してよかったことと、イメージと違ったこと〈2か月時点〉
さて今回は、「8か月時点で思うこと」です。
かたや四方八方をがちがちに固められて個性を求められることが皆無なお役所、かたや自分の能力を最大限発揮しながら価値を提供できる民間企業。どちらの方が働きやすいかは人によると思いますが、僕の場合は明らかに民間企業の方がストレスが少なく、働きやすいです。
その「働きやすさ」は「月曜が嫌になるかどうか」に現れてくると思っていて。前職時代は、仕事である以上あまねく嫌になるものだと思っていたのですが、どうやらそうではなさそう。なぜなら、今では毎週月曜が全然嫌じゃないんですよね。
では、どうすれば月曜が嫌にならないか。その条件について、僕の事例をご紹介しながら考えていきます。
「やりがい搾取」は長続きしない
まず、声を大にして言いたいのは、「やりがい搾取」は長続きしないこと。
よく、その人の仕事に見合わない安い給料しか支払わないことを、「やりがい搾取」といわれます。個人的には、給料だけでなく働く環境にも当てはめて解釈したいと思っていて、劣悪な環境だけど全部やる気で目を瞑る場合もあると思うんです。
前職で働き始める前は、どんなに自分に合わない仕事をしていても、辛いことがあっても、業界の中で給与水準が低くても、〈社会的意義の大きさ〉で相殺できると思っていました。
「目の前の仕事は別にやりたいことではないし、厳しいことも言われるし、製薬企業より給与水準は低いけれど、社会的意義が大きい仕事なんだから全部目を瞑ろう」——きっとそう思えるのだと、錯覚していたんです。でも現実はそんなわけありません。
最初の1年くらいはそれでもいいかもしれませんが、仕事はずっと続くわけで。働きにくい環境で自分をごまかしながら働き続けることに疲弊してしまい、いつの日か心に大きな歪みができてしまいます。
その初期症状として現れてくるのが、「月曜が嫌になる」ことなんじゃないかと思うんです。
月曜が嫌にならない仕事の条件
「どうすれば月曜が嫌にならないか」という問いに対する答えは、「月曜が嫌にならない仕事に転職しよう」です。月曜が嫌になる仕事を続けたまま考え方を変えようとしても、余計に疲弊してしまうだけなので、さっさと転職する方が近道です。
つまり、そもそも「月曜が嫌にならない仕事」がどのようなものなのか一般化できれば、自分に合った仕事を見つけることができるという算段です。
とはいえ、僕の経験だけを元にして一般化するのは無理があります。なので、僕の経験から得られた「月曜が嫌にならない仕事の条件」をお伝えして、皆さんの頭の中での一般化作業のお手伝いができればと考えています。
結論からお示しすると、その条件は以下の5つです。
- 精神的・肉体的に辛くないこと
- 一緒に働いている人を信用でき、自分も信用してもらえること
- その仕事に対して興味があること
- 自分の能力を発揮できること
- 働いていて楽しいこと
ひとつずつ見ていきましょう。
精神的・肉体的に辛くないこと
当然ですが、精神的・肉体的に辛い仕事を長く続けるのは困難です。よほど強靱な精神と肉体を持っていれば可能かもしれませんが、人間は意外と脆いもので、何の前触れもなく壊れてしまいます。
前職はオフィスワークなので肉体的に辛いことはありませんでしたが、精神的に参ってしまったことはありました。
そもそも案件数が多い上に、ひとつひとつの案件が重い。さらに、皆同じ判断軸を持つロボットになることを求められていたので、その軸から少しでもずれていたら袋叩きにされます。こんな環境下で仕事をしていたので精神的に参ってしまい、原因不明の発熱があったり、1週間くらい仕事に行けなくなったりしたことがありました。
何とかギリギリで持ち直して仕事を続けていましたが、さすがにこれ以上続けたら心が壊れてしまいそうで、転職を決意。
現職もオフィスワークなので肉体的に辛いことはなく、さらに精神的に参ってしまうような環境でもないので、心穏やかに仕事をしています。すると、月曜が全く苦になりません。
一緒に働いている人を信用でき、自分も信用してもらえること
皆が等しく持っているはずの判断軸からずれると袋叩きにされる環境では、一緒に働いている人(上司や同僚)を全く信用できません。
必要以上に言葉を交わしたくないので、雑談などの円滑に仕事を回すためのコミュニケーションが一切なくなります。すると、自分も信用されなくなり、お互いにお互いのことを信用していない、という状況が生まれます。
もともとコミュニケーションが少ない職場だったので、会議での会話がギクシャクしている感じはありました。そこに不信感が加わると、会議で言葉を交わすことが億劫になり、余計に月曜が嫌になります。
それに対して現職では、一方的に袋叩きにするといった歪なコミュニケーションが無く、その人の性格や考え方を知ることができる雑談をする機会があります。その結果、一緒に働いている人を信用することにつながり、自分も信用してもらえるようになり、仕事の話をする上で円滑なコミュニケーションを図ることができるのです。
ここまで良好な関係を築くことができれば、もう月曜は嫌ではありません。
その仕事に対して興味があること
そもそも前職で働くことにしたのは、自分の専門性の直接の延長線上にあり、専門性をさらに高めていくことができる仕事だと思ったから。積極的にやりたかったわけではなく、大学・研究室に華を持たせ、自分のキャリアに箔を付けるためだけに選んだ仕事だったんです。
→ 自分に最適な仕事とは。どのようにキャリアを構築していくか。
要するに、「元PMDA」という肩書きを使って楽しい仕事に転職するために、キャリアのステップアップのひとつとして選んだ道であり、仕事内容に興味はありませんでした。もちろん社会的意義は大いにありますが、自分自身の興味関心の話です。
前述しましたが、自分の興味の無さを社会的意義で上塗りすることはできません。高尚な使命感を携えて入社したものの、興味のない仕事に対して週5で自分の貴重な時間を使うことが本当にもったいなくなって。両手いっぱいに抱えていた使命感は、いつの日にか全て流れ去っていました。
「僕は人生の時間を使って何をやっているんだろう?」と疑問に思う日々。そして次第に月曜が憂鬱に——。興味のある仕事に転職した今となっては、単なる昔話となりました。「月曜が嫌」という感情すら懐かしいです。
自分の能力を発揮できること
いつかの記事に書きましたが、僕の経験を棚卸ししてみると5つの軸があることが分かりました。
- 薬学の全般的知識、薬剤師免許
- 博士としての研究実績(実験系の立ち上げ、学生マネジメント)
- 英語論文執筆、学会発表の経験
- Adobe Photoshop、Illustratorを使ったクリエイティブ(学会スライドを含む)
- WordPressによるWebサイト運営、Webライティング
前職では軸1と2のみを使っており、残りの軸3〜5は使っていませんでした。これだけ軸があるのに一部しか使わないのは非常に勿体ないし、軸1と2だけで勝負している人と同じ土俵で戦うのは間違った戦略です。このあたりで悶々としたりして、月曜が嫌でした。
先日ツイートしましたが、
デザイナーになりたい人生だった……とずっと思ってたんだけど、転職してからWebサイトや資料のデザインをすることが何度もあって、楽しくてしょうがない。一応、医療IT企業に臨床研究やる人として入ったんだけど、いつの間にか成り行きでそんな感じになってて、人生どう転ぶか分からないものだなあ。
— Yusuke Miura, PhD / starnote* (@info_starnote) March 24, 2022
というように、現職では軸1〜5まで余すことなく使って仕事をしています。ただ、軸3の英語はあまり使っていませんが、もっと得意な人に任せればいい——そう思えるくらいには、自分の能力を発揮できていると思っています。
僕は、やりたいことをやることよりも、自分の能力を適切に発揮できていることに対して幸せを感じるタイプの人間です。なので、今の自分が置かれている環境にはとても満足しているし、自分の能力を活用・評価してくれている上司や会社にも感謝しています。もう月曜は嫌ではありません。
働いていて楽しいこと
ここまで、
- 精神的・肉体的に辛くないこと
- 一緒に働いている人を信用でき、自分も信用してもらえること
- その仕事に対して興味があること
- 自分の能力を発揮できること
という4つの条件について述べてきました。
これら4条件が全て満たされるとどうなるか。僕も転職するまで抱いたことのない感情だったのですが、働いていて楽しいんです。そう思えるようになったらもう無敵だよね。仕事が楽しいんだから、月曜が嫌になるわけないですよ。
まとめ
以上をまとめると、僕の経験から得られた「月曜が嫌にならない仕事の条件」は以下の5つ。
- 精神的・肉体的に辛くないこと
- 一緒に働いている人を信用でき、自分も信用してもらえること
- その仕事に対して興味があること
- 自分の能力を発揮できること
- 働いていて楽しいこと
はい、これで月曜が嫌にならない仕事の条件は分かってよかったね。とはならなくて、そんな仕事にどうやって巡り会うことができるかが、次なる課題です。
僕がやったのは、企業とのマッチングに際して自分の目を信用せず、プロの意見を聞くこと。すなわち、転職エージェントに登録し、プロ目線で僕のキャリアを客観的に棚卸ししてもらい、自分に合いそうな企業を提案してもらいました。
こういう話をするとアフィリエイト臭が出てきますが、この記事には一切貼っていないのでご安心を。第三者のプロの意見を入れるのは悪くないので、当てにするかどうか最終的に自分で判断するにしても、一度面談してみるのはいいと思います。
という感じで、「月曜が嫌にならない仕事の条件」を5つお伝えしました。繰り返しになりますが、これは僕の経験から導かれた条件であって、決して一般化したものではありません。
ただ、どこかで誰かの参考になるといいなと思って記事化した次第なので、話半分に聞いていただき、参考になる部分は参考にしていただけると嬉しいです。
ちなみに当サイトでは、たまにこういうキャリアに関する話も書いています。過去記事は以下からどうぞ。