今日で長い学生生活が終了。これからは投資対効果を見極めるとき。

10年間も大学にいましたが、それも今日で終わり。


今日で長い学生生活が終了

僕は6年制薬学部を卒業したあと4年間の博士課程に進学しました。合計で10年間も大学に通うことになるので、この選択をするときは相当迷いました。

そこで辻褄合わせのように編み出した考えが、「お金を投資するのと同じように、時間を投資する人がいたっていい」というアイデアです。これについては以前詳しく書きましたね。

研究が嫌いだけど博士課程に進学した話。割り切るのも大切でした。 – starnote*
博士課程の大学院生をやってると、 「博士に進学するほど研究が好きなんだね!」 って言われることがありますが、いや、全然好きじゃないです。 新しいことを発見するためのプロセスは好きなので、研究全般が嫌いというわけではなく「研究室に籠もって行う研究が嫌い」と言った方が正確かもしれませんね。 こんな僕がなぜ博士課程に進学したのか、という話をします。 この記事では、先日の内容をもう少し掘り下げてみました。まだの方はこちらから読んでみてください。 上に行くには博士が必要? 先日、6年制薬学部を卒業後に博士課程に進学したという話をしました。その理由のひとつとして、このようなことを述べました。 薬剤師として働くにせよ、そうでないにせよ、博士を持っていないと上に登り詰めることのできない時代になったということです。病院薬剤師だって薬剤部長は博士が必要なところが多くなっているし、僕が働く組織でも博士がないと出世コースに乗ることさえできません。 これが真理です。 まず一般論ですが、大学進学率が半数を超えて6割に近づきつつある現在、「大卒」というだけでは他の人と差別化できなくなってきました。「大卒!?すごいねー」なんて言われないよね。 これと同じようなことが薬学分野でも言うことができます。昔は国立とごく一部の私立大学にしか薬学部がなかったのに、私大に薬学部の新設を重ねるという政策が取られました。その結果として薬学部が増えすぎてしまい、偏差値50を切るような薬学部があるというのが現状です。 なので、「薬剤師免許」を持っているだけでは他の薬剤師と差別化しにくくなってきました。これこそが、僕が薬剤師にならなかった理由でもあり、博士課程に進学した理由でもあります。 サイエンスを極めた人じゃないと、のし上がれない。 たしかに「専門薬剤師」という制度もあり、それに認定されれば普通の薬剤師と差別化することができます。しかし、それでも学部卒の薬剤師であることに変わりはありません。

研究が嫌いだけど博士課程に進学した話。割り切るのも大切でした。

得たものや失ったものがたくさんありますが、得たものに関してはすでに手に入れているので放置で大丈夫でしょう。

問題は、「失ったものをこの先取り返すことができるか」「この先数十年間のトータルでプラスにできるか」ということです。

つまり、時間という投資は本日をもって完了したので、これからはどれほどの効果があったのか見極めながら、その効果を最大化させることに尽力すべきだと考えます。

そのために、これまで4年間の博士課程で得たものや失ったものを整理しておきたいと思います。


得たもの

得たもの一覧はこちらです。

  • 博士(薬学)
  • 論文を書くスキル
  • 学会で発表するスキル
  • 人脈

博士(薬学)

これを取るために4年間研究していました。日本ではなかなか重視する傾向にありませんが、海外では博士を持っている人への信頼が大きいと聞いています。

まだ博士を取って10日くらいなのでそんな場面に出くわしてないですが、これから日本も少しずつそうなっていくはずです。


論文を書くスキル

「論文を書く」といっても最初は全然イメージできませんでした。そのへんにわんさか湧いてる文章と何が違うんだろうと思ってた。

同じ「文章」なんだけど、論文とWebライティングでは書き方がまるで違います。確かに根幹は同じなのでブログ運営による互恵関係はありますが、論文は論文向けのトレーニングをしないと全く書けません。

これからも論文を書く可能性は十分にあるので、4年間の博士課程で培ってきたことを活かす場はあると思っています。

頭の中から文章を、絞り出せ。 – starnote*
文章を書くときは、最適な表現を探し求めながら脳汁を絞り出さなきゃいけない。 「いや、ちょっと何言ってるかわからないっす」 最近は、学部生の文章を見ることがよくある。彼ら(と一括りにするのはよくないけれど)が書く文章は、主語述語の関係性が滅茶苦茶であることが多く、言いたいことが自分の中でまとまっていないまま文章化されているから、こんなツッコミを入れたくもなる。 文章を書くことに慣れていないと、自分の考えていることを最適な文章としてそのまま出力することができない。だから、卒論やレポートで支離滅裂になっていることもよくある。 自分は自分の思考をすべて把握しているので、不完全な文章を読んだときに記憶を使って補完することができる。でも、他人がその文章を読んでも補完機能は作動しない。 だからこそ、文章を紡ぎ出すときは、脳内に湧き上がっている思考を丁寧に拾い上げる作業が必要になる。 つまり、脳がカラカラになるまで絞り出すようなイメージ。考えて考えて考え抜いて、脳汁の最後の1滴まで文章に変換する。 最初のうちは、すぐにカラカラになるように感じるかもしれない。でも、それはきっと気のせいで、絞り出せばもっと脳汁が出てくるに決まっている。 要は、脳の絞り方を知らないのだ。 濡らしたぞうきんを絞るときだってそう。一方向から絞って、もう水が出てこないほど固く絞っても、一度広がして絞る方向を変えると、まだ水が出てくる。 文章を紡ぎ出すのが苦手な人は、脳を一方向からしか絞っていない。つまり、最初に出力された文章をそのまま使ってしまうのだ。 考えれば考えるほど「こういう風に表現を変えればもっと分かりやすくなるかなー」「この文章は前に持ってきた方がいいな」というような閃きが生まれる。そして修正する。書き足す。順番を変える。 これこそが、「別の方向から脳を絞る」ことだと思うんだ。 このような経験を何度も繰り返すうちに、最初から最適な表現で出力されるようになる。この状態に持って行くには、ひたすら書き続けて訓練するしかない。 だから、もっと文章を書こう。綴ろう。絞り出そう。そうすれば、自ずと光は射してくるはずだ。 → 文章力を鍛えるためには書くしかない。人に読んでもらいながら。

頭の中から文章を、絞り出せ。


学会で発表するスキル

人前で話すことに対する抵抗が全くなくなりました。スライドを作る技術も含めて、学会で発表するスキルは大きく上昇したのではないかと思います。

自分の研究をわかりやすく伝えるために、画力を鍛えよう。 – starnote*
研究者にとって大切なことは、研究成果を上げることです。 しかし、それ以上に成果を「伝える」部分にも気を配らないと、必要としている人の元に届かないと思うのです。 文章で伝えるのは限界があるので、可能な限り視覚に訴えることで理解を共有できます。だから画力を鍛えて、自分の研究を伝えるのに必要なイラストを、最適な形で作り出しましょう。 自分の研究をわかりやすく伝えるために、画力を鍛えよう。 この記事では、 研究者がイラストを描くメリットは? どんなツールを使えばいいの? その使い方は無料で学べる? というような疑問に答えます。 研究者がイラストを描くメリット・デメリット まずは、なぜ研究者がイラストを描かないといけないのか、という話題から。そのメリットとしてこのようなことが挙げられます。 イラスト化して余計な文字を排し、受け手(読者や聴衆)の負担を軽減することができる 言葉では表現しにくいことも一発で伝えることができる 他分野の研究者が多くいるような場でも、理解を促すことができる こんなメリットがあります。要するに、言葉では伝えにくい内容をイラストとして視覚に訴えるということです。 しかしなんと、デメリットはありません。確かに資料の準備に時間がかかりそうに見えますが、イラストを一度描いてしまうと何度でも使い回せる上に、文章も少なくできるので、結果的に時短になります。 このように、いいことしかないから皆イラスト描こうぜ!っていうのが、この記事の趣旨です。 具体例を見てみよう 偉そうな文句を並べるよりも、まずは実際に見てもらった方がわかりやすいと思います。いろんな権利の関係上、僕が作ったものだけになってしまいますが、どうぞご了承ください。 先日博士の公開審査会があったので、ほとんどはそのスライドから引っ張ってきました。 まずは背景のスライドを示しています。 脳への薬物送達というものに3種類のアプローチ法がありますよ、という説明をするためのスライドです。その3種類をイラストにして示すことで、聴衆が一目で理解できるようにしました。 これは博士の公開審査会のスライドなので、他の分野の先生方がたくさん見てらっしゃるような場です。なので、全面的に視覚に訴えた方がわかりやすい。

自分の研究をわかりやすく伝えるために、画力を鍛えよう。


人脈

共同研究や学会で培った人脈ももちろんですが、同じ研究室に所属して研究したメンバーの存在は大きいと思います。

博士課程の大学院生も数人いて、きっと彼らもそれなりのところに就職してキャリアを積み上げていくはずなので、数年経ったときに力強い人脈に化けている可能性は十分にあります。

どのような形で力になってもらえるか(あるいは自分が力になれるか)はまだ見当もつきませんが、いつかまたリンクさせることができたら素敵だよね。


失ったもの

逆に失ったものはこの2つ。

  • 時間
  • お金 —— 学費だけでなく、4年間の収入も含めて

時間

4年という時間は長いです。

だってもう一回大学に入り直すようなものですからね。失った時間は戻ってこないし、体が若返ることもないけれど、トータルでプラスにできればいいと思っています。

投資なので最初に痛みが伴うのは当然です。痛みの期間は今日で終わりなので、これからは着実に回収していきます。


お金

4年間の学費や生活費だけでなく、「大卒で就職していれば稼げたであろう」というお金も含まれています。ざっと見積もっても余裕で4ケタ万円に達しますよね。

お金に対してはあまり執着がないので、最悪の場合回収できなくてもいいかなと思ってます。

このくらいの感じで構えて、自分がおもしろいと思える仕事をしていた方が、結果的に入ってくるお金は多くなるんじゃないかなーと思います。


価値ある投資にできるかは、これからの自分にかかっている

あまり自分にプレッシャーをかけたくはないですが、自分にできることは「常に前に進み続ける」ことだと思います。なんか最近立ち止まってるなーと思ったら環境を変えちゃうのも手かもしれません。

だからこんな感じで、後ろを振り返らずに前しか見ない。そうやってこれからも進んでいきます。


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