広く、柔らかく、質感高く、旅の記録を残すために。
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3兄弟で最も広角なレンズ
FUJIFILM Xマウントに対応したTokinaレンズは3モデルが発売されています。そのうち、いちばん広角なものが23mmです。
これまで、当サイトではケンコー・トキナー様よりご提供いただき、33mmと56mmの2モデルをレビューしてきました。今回は残りの1モデル「23mm」をレビューしていきますよ。
なお、33mmと56mmのレビューはこちらです。
→ Tokina atx-m 33mm F1.4 X|日常生活を印象的に撮影するレンズ [PR]
→ Tokina atx-m 56mm F1.4 X|さらなる深みを求めて潜ることができるレンズ [PR]
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メーカーより商品を無償で提供いただき、記事を執筆しています。記事の内容は全く指示を受けていないので、僕が使ってみた率直な感想を記載しています。
もくじ
Tokina atx-m 23mm F1.4 X
2020年12月に、TokinaのXマウントレンズ第1弾として、33mmと同時に発売されました。そのあとで56mmも追加され、現在ではTokinaレンズ3兄弟としてラインナップされています。サイズや外観はほぼ同じです。
APS-Cサイズの23mmなので、フルサイズ換算で35mm相当のレンズとなります。超広角というわけではありませんですが、周りの風景を広く切り取ってくれるレンズです。
詳細はメーカーの公式サイトを参照してもらえればと思いますが、ざっくりとしたスペックは以下のとおりです。
焦点距離 | 23mmm |
---|---|
明るさ | F1.4 |
フォーマット | APS-C |
最小絞り | F16 |
レンズ構成 | 10群11枚 |
コーティング | マルチコーティング |
画角 | 63.4° |
フォーカス方式 | インナーフォーカス |
フィルターサイズ | 52mm |
最短撮影距離 | 0.3m |
マクロ最大倍率 | 1:10 |
絞り羽根枚数 | 9枚 |
最大径 | 65mm |
全長 | 72mm |
質量 | 276g |
対応マウント | 富士フイルムX |
金属製のレンズフードには反射防止加工も
レンズフードは金属製で、3兄弟の中で最も短いものが付属しています。多くのレンズがプラスチック製のレンズフードを付属してくる中、質感の高い金属で仕上げているのはとても好感が持てますね。
絞りリングを搭載
レンズの本体寄りには絞りリングが搭載されています。クリック感のない無段階式で、回すときには少し力が必要です。
他のラインナップと比較
上記のとおり、FUJIFILM Xマウント向けのTokinaレンズは「23mm」「33mm」「56mm」の3本がラインナップされています。いずれも全長72mmで、見た目もほぼ同じ。
異なるのは、前玉の大きさ(56mmは特に大きいですね)と、レンズフードのサイズ・形状でしょうか。いずれにせよ、レンズ面に傷がつくのを防ぐために、レンズフィルターを装着した方がいいでしょう。
作例をご紹介
製品の紹介はこのくらいにして、このレンズを使ってどのような写真を撮ることができるのか、作例をご紹介しましょう。
- シーン1:室内
- シーン2:曇点の鹿島神宮
- シーン3:海ほたるにて
- シーン4:休日のパン屋さん
- シーン5:すがすがしい牧場
- シーン6:夕暮れの中禅寺湖
なお、撮影機材はFUJIFILM X-T4で、全てJPEG撮って出しです。フィルムシミュレーションはクラシッククロームが多いですが、PROVIAやASTIAも混じっています。
シーン1:室内
広角レンズはその場を広く映し出すことができるので、旅に連れて行くのが楽しいと思っています。そのため、室内ではあまり撮っていませんでした。
でも、F1.4の写りの柔らかさはさすがで、室内で使うのもいいかもしれませんね。1枚目のMARKS&WEBのアメニティもはっきり、くっきりと浮かび上がっています。
シーン2:曇点の鹿島神宮
8月のとある日、曇点の鹿島神宮に連れて行きました。雨上がりだったこの日、緑豊かな鹿島神宮は湿気がすごくて、服まで湿ってしまうほどでした。全て撮って出しですが、湿っぽい質感まで表現できているからさすがです。
シーン3:海ほたるにて
木更津のアウトレットに行った帰り道。夕焼けの海ほたるを目指してアクアラインを走っていたけれど、事故渋滞のせいで到着が遅れてしまいました。ついさっきまで素晴らしいグラデーションを描いていた空は、すっかり無表情に。
しかし、そのおかげで「静かな海の上に浮かぶ人工島」にいることを強調できる写真となりました。本来は意図していないシチュエーションであっても、その場の雰囲気に合った描写をしてくれる、頼もしいレンズです。
シーン4:休日のパン屋さん
とある休日、日光にあるお気に入りのパン屋さんまで足を伸ばしました。ここに行くと注文するものは決まっています。マンゴージュースと、ミルクスティックと、ホットサンド。ああ、書いているうちにまた行きたくなってきた。
→ THE STANDARD BAKERS 日光店 – ザ スタンダードベイカーズ
旅先で立ち寄ったお店の中でも、広角かつ明るいレンズであれば安心です。もし店内があまり広くなくても、薄暗くても、美味しいものは美味しそうに描いてくれるのです。
シーン5:すがすがしい牧場
美味しいパンを頂いたあとは、気持ちのいいワインディングを30分ほどドライブして「大笹牧場」へ。ここのソフトクリームが美味しいんだ。ドライブ中の撮影は助手にお願いしました。
気持ちのいいドライブだったので、その気持ちよさを写真にも残したい。広角だから、開放感のある大自然の景色もそのまま切り取ることができます。もちろん、FUJIFILMの色味のよさも失うことはありません。
シーン6:夕暮れの中禅寺湖
ちょうど夕暮れの時間帯になってきたので、美しい景色を見るために中禅寺湖まで移動しました。静かな時間が流れている湖畔で、ひんやりとした空気に当たりながら、目の前の舞台が赤く染まるのを待ちます。
もう写りのよさに関しては説明する必要はないでしょう。その場の空気を写真の中にぎゅっと閉じ込めてくれる、素晴らしいレンズです。
旅に連れて行って楽しいレンズ
旅に出るとき、僕は必ずカメラを持っていきます。でも、写真を撮ることだけを目的に旅に出ることはなく、旅を楽しみながら「ついで」として写真も撮る。このようなスタンスです。
しかしながら、この「Tokina atx-m 23mm F1.4 X」を連れて行くと、描写される画が素晴らしくて、写真を撮ること自体も楽しくなってきます。だから、旅の楽しさに写真を撮ることの楽しさが相まって、より一層、旅の思い出を素敵なものにすることができるのです。
もちろん、フルサイズ換算35mmという広角レンズなので、被写体が入らなくて困ることはありません。どんな写真を撮るか事前に分からない「旅」という場面だからこそ、広角であることが重要なのです。
周辺減光が目立つのが気になる
ただ1点、気になることを挙げるとすれば「周辺減光」です。
このレンズを使う以上、柔らかさを出すことを重視したくて、F1.4に固定して撮影していました。すると、空を写すような場面では周辺減光が目立ってしまいます。
F1.4のレンズだから仕方のない部分もあるし、あまりに気になるのなら自分でF値を上げれば問題ありません。これはこれで味のある写真になると思うので、個人的には全く気にしていません。
まとめ
広角のレンズなので、必要以上に広く写ってしまって使いにくい場面があるのも確かです。しかし、メッセージ性を求めない旅先でのスナップであれば、周囲の景色を広く写すことはメリットになります。
さらに、F1.4という明るく柔らかさのあるレンズであるため、周りの空気感を写真の中に取り込むことができます。つまり、広く、柔らかく写すことのできるレンズであるので、旅の風景を質感高く写真に収めることができるのです。
FUJIFILMの色味と相まって、旅の記録をエモーショナルに残すことができる。そんなレンズでした。