最近よく使っているレンズをレビュー。
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日常生活を印象的に撮影するレンズ
FUJIFILMのカメラを使い始めて早1年。エントリーモデルであるX-T200から始めてみたものの、今では上位のX-T4に手を出すまでになりました。色味がいいからとか、その場の空気感を閉じ込めることができることとか、いろいろとそれらしい理由を付けていますが、何よりも撮っていて楽しい。これに尽きます。
→ FUJIFILMのカメラで、心に響く場面を残そう
→ FUJIFILM X-T4を購入。だけど何も手放さない。
これまでは、X-T200やX-T4とともに、FUJIFILM純正の標準ズームレンズ「FUJINON XF18-55mm F2.8-4 R LM OIS」と、比較的広角な単焦点レンズ「FUJINON XF23mmF2 R WR」を使ってきました。
そろそろ、換算50mm程度の標準域で明るいレンズに手を出してみようかなと思っていたところ、縁あってケンコー・トキナーさんから提供していただいたので、この記事でレビューします。
この記事は、メーカーより商品を無償で提供いただき、執筆しています。記事の内容は全く指示を受けていないので、僕が使ってみた率直な感想を記載しています。
もくじ
Tokina atx-m 33mm F1.4 X
そのレンズとは、「Tokina atx-m 33mm F1.4 X」。FUJIFILM Xマウント向けに開発され、2020年末に発売されたレンズです。仕様が公開されていないXマウントでは純正以外のレンズが限られているのが現状ですが、本レンズは数少ないサードパーティー製Xマウントレンズのひとつです。
詳細はメーカーの公式ページを参照してもらえればと思いますが、ざっくりとした仕様は以下のとおりです。
焦点距離 | 33mm (35mm換算49.5mm相当) |
---|---|
明るさ | F1.4 |
フォーマット | APS-C |
最小絞り | F16 |
レンズ構成 | 9群10枚 |
コーティング | マルチコーティング |
画角 | 45.7° |
フォーカス方式 | インナーフォーカス |
フィルターサイズ | 52mm |
最短撮影距離 | 0.4m |
マクロ最大倍率 | 1:10 |
絞り羽根枚数 | 9枚 |
最大径 | 65mm |
全長 | 72mm |
質量 | 285g |
上から下まで金属製
筐体はフォーカスリングも絞りリングも、全て金属製で触るとひんやりします。さらに、付属のレンズフードも金属製。黒光りするレンズとフードの一体感も相まって、高級感があります。
フードには反射防止加工
さらに、レンズフードの内側には反射防止のギザギザ加工もあります。抜かりない…
正面はシンプルな見た目
レンズ正面には特に何も書いておらず、シンプルな見た目です。
レンズキャップも頑丈(ただしプラスチック製)
そして、頑丈なレンズキャップも付属します。さすがにこれはプラスチック製でしたが。
絞りリングとフォーカスリングを搭載
FUJIFILM純正レンズと同じように、レンズに絞りリングが搭載されています。ただし、純正レンズと異なり無段階式であり、絞りリングを回す際にカチカチとしたクリック感はありません。そして、重めのリングなので回すときに結構力が必要です。実用上は問題ないですが、個人的にはもう少し軽いリングが好みです。
一方、フォーカスリングは軽い力でスムーズに回るようになっています。幅も太いので、マニュアルフォーカス時も合わせやすいです。
絞りリングは、いちばん右側がF1.4で、左側にF16、その先にF値オート(A)があります。なお、回す際はF16とAの部分に少しクリック感があります。
X-T4に装着してみる
FUJIFILM X-T4に装着してみるとこのような感じです。純正の35mmF1.4よりは長いレンズですが、X-T4と一緒に使うのであればいいバランスだと思います。この組み合わせで重量は900g程度です。
作例をご紹介
製品の紹介ももちろんですが、それ以上に「どのような写真が撮れるのか」が重要です。使い始めて1か月あまりでたくさん写真を撮ってきたので、4つのシーンに分けてご紹介します。
- シーン1:室内
- シーン2:小雨の長谷寺
- シーン3:晴天の宮ヶ瀬湖
- シーン4:夕方〜夜のみなとみらい
なお、撮影機材はFUJIFILM X-T4またはX-T200で、全てJPEG撮って出しです。フィルムシミュレーションはほとんどがクラシッククロームです(たまにASTIAが混ざっていますが、9割ほどはクラシッククロームです)。
シーン1:室内
光が限られるような室内でも、F1.4の明るいレンズならきれいに撮ることができます。ボケ感のおかげで光が柔らかく感じられ、対象物を優しく映し出すことができます。
〈使用機材〉
カメラ:FUJIFILM X-T4、X-T200
レンズ:Tokina atx-m 33mm F1.4 X
フィルムシミュレーション:クラシッククローム
シーン2:小雨の長谷寺
小雨の中、あじさいが満開の鎌倉は長谷寺に行ってきました。現地のじとじととした雰囲気を見事に描ききっています。ただ、最短撮影距離が40cmなのが難点で、あじさいに寄る写真はこれが限界でした。
〈使用機材〉
カメラ:FUJIFILM X-T200
レンズ:Tokina atx-m 33mm F1.4 X
フィルムシミュレーション:クラシッククローム
シーン3:晴天の宮ヶ瀬湖
晴れの日に相模原の宮ヶ瀬湖まで行ってきました。散歩していると途中でお昼寝中の猫に遭遇したので、起こさないように撮らせてもらいました。やわらかな猫の毛の描写力はすごいと思いました。
〈使用機材〉
カメラ:FUJIFILM X-T4
レンズ:Tokina atx-m 33mm F1.4 X
フィルムシミュレーション:クラシッククローム、ASTIA
シーン4:夕方〜夜のみなとみらい
夕暮れ時に赤レンガ倉庫に車を止め、みなとみらいから大さん橋にかけて散歩してきました。少しずつ夕日が暮れていく中、空の色が見事なグラデーションを描きます。
〈使用機材〉
カメラ:FUJIFILM X-T4
レンズ:Tokina atx-m 33mm F1.4 X
フィルムシミュレーション:クラシッククローム
F5.6に絞ると重厚感のある雰囲気になりました。2枚目の海の写真がお気に入りです。
AFも速く日常的に使いたいレンズ
最後に使ってみた感想を。
X-T4と一緒に使うとオートフォーカスが速く、フォーカスが迷うことも少ないです。そのため、咄嗟のタイミングで撮影するときもきっちりピントを合わせることができます。例えば、みなとみらいの鳥の写真や小さな車に乗った子どもの写真は咄嗟に撮りましたが、ピンボケにはなりませんでした。
レンズ自体のサイズは、33mm(換算50mm)の単焦点レンズとしては少し大きいように思いますが、X-T4と組み合わせるのならこのくらいがちょうどいいのかもしれません。
しかし、レンズが大きいということは重心がレンズ側に偏るので、X-T200のようなグリップの浅い本体と組み合わせると、持つのがちょっと大変です。グリップの深いX-T4やX-S10などと組み合わせるのが最適と思います。
おすすめの1本
日常における印象的な瞬間は、十分に準備をして撮影できるほどの時間が許されることもあれば、咄嗟のタイミングで撮影しないといけないこともあります。この「Tokina atx-m 33mm F1.4 X」であれば、どちらの場合にも対応でき、結果として印象的な写真をたくさん撮ることができました。
換算50mm程度の単焦点レンズは使ったことがなかったけれど、ズームレンズにない制約が逆に新鮮で、撮っていてとても楽しかった。このレンズを使った撮影体験に影響され、ソニーα7 IIIでも同じ体験を味わってみたくて、Eマウント用の50mm単焦点レンズも買ってしまったくらいです。
オートフォーカスも速くて使いやすく、写りもいい。それでいてFUJIFILM純正の「XF35mmF1.4 R」より安く手に入ります。初めての単焦点レンズとしても、他の画角の単焦点レンズからの買い増しとしても、おすすめの1本です。