単純にゼロになったわけではないけれど。
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博士課程に進学して失ったもの
これまでは「博士課程に進学してよかったこと」についてたくさん書いてきました。というのは、博士課程の4年間を総合すると進学してよかったと思っているので、いい部分を書くことが多かったです。
しかしながら、逆に失ったものもいくつかあるので、今日はそんな話をしたいと思います。
時間
いちばん大きいのは「時間」です。
通常の4年制学部の上には2年間の博士前期課程(修士課程)と3年間の博士後期課程があります。理系の場合は修士まで出ることが多いので、博士後期課程まで進学すると他の人よりも3年間長く学生生活を送ることになります。
しかし、医学部・歯学部・薬学部といった6年制課程の上にある博士課程は4年間なんです。僕が卒業したのは6年制薬学部なので、博士課程に進学するとなると4年行くしか選択肢がない。
同級生のほとんどは6年生で卒業して働き出すので、職歴において単純に4年間の差が生まれます。この差は大きいです。
現在僕は医薬品開発に携わっていて、これまでの研究とは少し離れたところにいます。それはつまり、4年間の博士課程で身につけてきたことがそのまま活かせないという状況なので、6年生で卒業して同じ仕事をしている人とは実力にかなりの開きがあります。
もし研究職なら差は小さかったかもしれませんが、これまでと違うことをするってこういうことなんだと実感しているところです。
お金
学部生時代は両親に学費を負担してもらっていて、奨学金を借りていませんでした。でも、博士課程は「+α」の要素が大きいので、自分で払おうと思って奨学金を借りることに。ちなみに実家にいたので家賃などはかかりません。
日本学生支援機構の奨学金には、利子のかからない第一種と利子のかかる第二種があります。さらに大学院生の場合、第一種をもらっている人が研究業績を積み上げると「返還免除」という制度があります。
だから、業績を積み上げる自信のある人は奨学金を借りておかないと損するわけですね。借りてた分はまるまる貰えることになるので。
僕は運良く第一種に滑り込むことができて、4年間で600万円くらい借りてました。本当は全額免除に持って行きたかったけれど、めちゃめちゃ業績がすごい人がいて勝てなかったです。
でも、半額免除にすることはできたので、残りの300万円を返す感じになりました。1年あたり30万円を10年間なので、あまり大したことないかなと楽観しているところです。利子もかからないし。
この奨学金の中には授業料なども含まれているので、博士課程の4年間に300万円の投資をした形になっています。あとはうまく回収するだけです。
友人
これは博士課程は関係ないかもしれないけれど。
僕が在籍していた長崎大学の場合は、卒業後に長崎に残る人は多数派ではなくて、みんな県外に出て行ってしまいます。もともと長崎出身者ばかりで占められていたわけでもないので、当たり前のことかもしれません。だから割と散り散りになっちゃいますね。
そのうえ、学生と社会人では話も合わなくなっちゃうし、休みのタイミングも合わないとかで、だんだん疎遠になっていきます。まあ、交友関係は住んでいる場所に大きく依存すると思うので、そんなものだと思っています。
まとめ
以上、やっぱり失った時間とお金は戻ってこないね、という話でした。
しかし、かけた時間とお金の分は自分に実力として身についていると思っているので、ただ単純にゼロになったわけではありません。そういう意味では投資の意味合いが大きい。
一般的に投資はリスクを伴うものだと言われていますが、それを痛いと思ってなければ、本人にとってはリスクではないはず。確かに博士課程の4年間で失ったものはあるけど、別に痛いとは思ってないんだよな。
そのうち時間やお金を投資した結果がじわじわ効いてくるはずなので、進学した価値に対して現時点で評価を下すのは控えますね。
ただ、「投資した分を着実に回収する」という視点を常に持ちながら生きていく必要があるので、そこだけ注意しながらこれからも前進します。