FUJIFILM Xマウント用が出ました。
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意外と使いやすい超広角レンズ
これまで、超広角レンズには使いづらいと思っていたんです。いや、僕個人の先入観だったんですけどね。どうしても必要になったらiPhoneのカメラで代用すればいいと、これまで一眼カメラの超広角レンズには手を出していませんでした。
でも、この「SAMYANG AF 12mm F2」によって、これまでの自分勝手なイメージが覆されました。周りの景色を広く切り取ることができるのって、こんなにも便利だったんだ!
聞き慣れないメーカーかもしれませんが、SAMYANG(サムヤン)は韓国のメーカーです。ケンコー・トキナーさんが日本国内の代理店を務めています。
発売から2か月ほど経って記事を書いていますが、実は発売前からサンプル品を提供していただいていました。初めての超広角レンズ、うまく使いこなせるか分かりませんでしたが、せっかく頂いたので使い倒してみようじゃないですか。
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メーカーより商品を無償で提供いただき、記事を執筆しています。記事の内容は全く指示を受けていないので、僕が使ってみた率直な感想を記載しています。
とても長い記事になってしまいました。気になる部分だけをつまみ食いしてもOKです。
もくじ
SAMYANG AF 12mm F2
もともとは「SAMYANG 12mm F2.0 NCS CS」というレンズがありました(現在も販売中)。しかしこのレンズはオートフォーカス(AF)に対応しておらず、マニュアルフォーカス(MF)でピントを合わせる必要があるのです。
このMFレンズをAF化したのが今回の「SAMYANG AF 12mm F2」というわけ。ソニーEマウント用は先行して発売されていましたが、晴れて2021年12月にFUJIFILM Xマウント用も追加されたのです。
「SAMYANG AF 12mm F2」はAPS-C向けの焦点距離12mmのレンズなので、フルサイズに換算すると18mmに相当します。iPhoneの超広角レンズはフルサイズ換算で13mm相当なので、それより少し狭いくらいというイメージです。
開けてみよう
こんな感じの箱に入っています。早速開けてみましょう。
ケースが付属
本体はケースの中に入っています。高価格帯のレンズではないのにケースまで付いてくるの、とてもいいですね。ファスナーで開閉するタイプのケースで、安っぽさはありませんでした。ちなみに、レンズフードを装着したままでもケースに入れることができます。
本体は意外とコンパクト
本体は意外とコンパクトで、重さも200g程度です。レンズキャップもしっかりしていて好印象。
フィルター径は62mm。超広角レンズなのでフィルターを取り付ると写り込んでしまわないか心配していましたが、通常のレンズプロテクター程度なら問題ありませんでした。
スペックはこんな感じです。詳細はケンコー・トキナーさんの公式サイトをご確認ください。
→ AF 12mm F2 | SAMYANG | ケンコー・トキナー
焦点距離 | 12mm |
---|---|
明るさ | F2.0-F22 |
レンズ構成 | 10群12枚 |
画角 | 99.1° |
大きさ | 59.2mm×Φ70mm |
重さ | 213g |
フィルター径 | 62mm |
最短撮影距離 | 0.19m |
最大撮影倍率 | ×0.09 |
絞り羽根 | 7枚 |
対応撮像画面サイズ | APS-C |
対応マウント | 富士フイルムXマウント |
外装は赤いラインが特徴的(だけど控えめ)
SAMYANGレンズの特徴は「レンズを取り囲む赤いライン」です。このレンズにも入っていますが、従来の製品よりも控えめになっています。前から見るとさりげなく入っていますが、後ろからは見えない。上品でいいです。
外装やレンズフードはプラスチック製で若干の安っぽさはありますが、実用上は問題ありません。ただ、レンズフードを取り付ける(回してカチッと固定する)のがめちゃめちゃ固かった…。
X-T4に装着します
この「SAMYANG AF 12mm F2」は、僕のメイン機であるFUJIFILM X-T4で使うことにしました。Xマウントは「X-T4」と「X-T200」の2台を保有しているのですが、X-T200に装着するにはこのレンズが少し大きい気がして。
Xマウントへの取り付けはスムーズで、カチッと気持ちよく止まります。FUJIFILM純正レンズと遜色ありません。X-T4に装着するとちょうどいいサイズ感ですね。
作例をご紹介
FUJIFILM X-T4に装着して持ち出してみました。実際にどのような写真が撮れるかが重要だと思うので、いくつか作例をご紹介します。拙い写真ばかりですが、参考にしていただければ幸いです。
- シーン1:室内
- シーン2:パレットタウンの観覧車から
- シーン3:はじめてのチームラボ
- シーン4:成田山に初詣
- シーン5:いちご狩りを楽しむ
なお、写真は全てJPEG撮って出しで、フィルムシミュレーションはクラシッククロームです。
シーン1:室内
超広角レンズは部屋の中を広く切り取るのに最適です。散らかっていてお恥ずかしいですが、うちのリビングも広く収めることができます。ただ、超広角レンズの宿命で周辺はかなり歪むので、それを踏まえて構図を決めないといけません。
〈使用機材〉
カメラ:FUJIFILM X-T4
レンズ:SAMYANG AF 12mm F2
フィルムシミュレーション:クラシッククローム
シーン2:パレットタウンの観覧車から
夜の観覧車はこのレンズにうってつけのシチュエーションだと思われたので、閉館が迫っているパレットタウンに持ち出してみました。超広角だから狭いゴンドラでも窮屈な構図にならずに済むし、F2と明るいレンズだから下界に広がる夜景も美しく切り取ることができます。
〈使用機材〉
カメラ:FUJIFILM X-T4
レンズ:SAMYANG AF 12mm F2
フィルムシミュレーション:クラシッククローム
シーン3:はじめてのチームラボ
観覧車に乗ったあとは、そのままチームラボへ。こちらもそろそろ閉館してしまうので見納めのつもりで。初めてだったけど。
観覧車と同様に、こちらも「超広角」と「明るい」という「SAMYANG AF 12mm F2」の特徴を活かすことができるはずです。暗い館内の中で光の演出があり、明暗差が激しい、というレンズにとっては厳しいシチュエーション。
〈使用機材〉
カメラ:FUJIFILM X-T4
レンズ:SAMYANG AF 12mm F2
フィルムシミュレーション:クラシッククローム
シーン4:成田山に初詣
暗くて狭い場所だけでなく、日中の屋外でも使ってみました。初詣で成田山新勝寺を訪れたのですが、このときはずっと〈FUJIFILM X-T4 + SAMYANG AF 12mm F2〉の組み合わせで、別のレンズは使いませんでした。日常のスナップもこのレンズ1本でこなせるかどうか試してみたかったのです。
〈使用機材〉
カメラ:FUJIFILM X-T4
レンズ:SAMYANG AF 12mm F2
フィルムシミュレーション:クラシッククローム
シーン5:いちご狩りを楽しむ
最後は、栃木にいちご狩りに行ったときの写真。引き続き、日常のスナップに使えるかどうか検証するために〈FUJIFILM X-T4 + SAMYANG AF 12mm F2〉の組み合わせのみを携行しました。
これまでは「広く写る=使いにくい」と思っていたのに、実際に使ってみると超広角レンズは日常のスナップに最適なんじゃないかと思えました。それくらい、何の違和感もなく使うことができたんです。
→ CX-5と暮らす|わざわざ栃木までいちご狩りに行く(だけ)
〈使用機材〉
カメラ:FUJIFILM X-T4
レンズ:SAMYANG AF 12mm F2
フィルムシミュレーション:クラシッククローム
使ってみた感想
作例を見ていただいたところで、使ってみた感想をお伝えしますね。いいところと気になるところを書き出してみます。
いいところ
まず、結論から言うと「いいところ」はこの3つです。
- 狭い空間を切り取っても窮屈な構図にならない
- 自撮りするには最適な画角
- 日常のスナップでも使いやすい
これまで、日常や旅行でのスナップには広角レンズが使いやすいことは認識していました。事実、以前レビューした「Tokina atx-m 23mm F1.4 X」(フルサイズ換算35mm程度のレンズ)は「旅に連れて行って楽しい」と評しました。
→ Tokina atx-m 23mm F1.4 X|旅に連れて行って楽しいレンズ [PR]
とはいえ、広ければ広いほど使いやすいわけではない。むしろその広さが「使いにくさ」につながるんじゃないかな、とさえ思っていました。だから超広角レンズに手を出したことはなかったんです。でもこの「SAMYANG AF 12mm F2」は違いました。
その場の空間を広く切り取ることができる。作品を作るのとは違い、被写体だけを写して強調することよりも、被写体も写しつつその被写体が存在する場も1枚の写真に収める。日常や旅行におけるスナップって、そんなことが求められるんです。
2か月ほど使ってみて、この12mm(フルサイズ換算18mm)という画角は、そういう用途にちょうどよかった。広すぎて持て余すことはなく、ちょうどいいんです。
また、写真を撮るときに「距離の制約」に直面することがあります。狭い空間でそれ以上離れることができなかったり、自撮りの際に手の長さが限られたり。今回の撮影においても、観覧車のゴンドラやバリアングルモニターを自分の方に向けて自撮りする機会がありました。
「SAMYANG AF 12mm F2」なら、このような場面においても窮屈な構図になることはなかったし、被写体がちょうどいいサイズになりました。超広角レンズのメリットはこんなところにもあるんだなーと、ひとりで妙に納得していました。
気になるところ
一方、気になるところは以下の3つ。
- 絞りリングが付いていない
- あまりボケない
- ゴーストやフレアが気になる
「SAMYANG AF 12mm F2」には幅の広いフォーカスリングがあります。要望があるとすれば、ここに絞りリングも欲しかった。カメラ本体側のダイヤルで調整できるので別に必須ではないのですが、FUJIFILM Xマウントユーザーであればリングを回して調整したいと思うので、あった方がよりよいと思いました。
また、使っていて思ったのは「レンズ自体の性能もあまり高くないのかなー」ということ。F2のレンズであるにもかかわらずあまりボケないし、強い光源が入射したときにゴーストやフレアが盛大に出ます。
特に「SAMYANG AF 12mm F2」のゴーストやフレアに関しては、正直に言ってあまりきれいなものではないんですよね。よく言えば味がありますが、悪く言えば光が散乱しすぎていてきめが粗い。値段相応な部分なのかもしれませんが。
とはいえ、強い光が入らない場面であれば気になりません。この2つの例は敢えて光を入れてゴーストやフレアを出す演出を試みたので、そんなことをしなければ問題になる場面は少ないでしょう。
広く写したいなら持っていた方がいい「超広角レンズ」
以上のように、少し気になる点はあるものの、「広く写すことができること」は日常や旅行でのスナップで写真を撮る上でメリットとなりえます。作品を作りたいのなら望遠レンズの方ががいいですが、スナップなら広角の方がいい。
だから、例えばスナップ写真を多く撮る人なら、標準域のズームレンズや単焦点レンズを揃える前に、いきなり超広角に手を出してもいいと思うんです。ProモデルじゃないiPhoneに「広角レンズ」と「超広角レンズ」の2つが付いている意味を考えてみると、きっと広角寄りの画角の方があらゆる人にとって使いやすいのです。
実際、2か月ほど「SAMYANG AF 12mm F2」を使用する中で、「被写体までの距離が足りなくて困る」場面は一切ありませんでした。足を使って構図を探さなくてもその場でいい感じの写真が撮れる、というのは明らかにメリットです。
そのため、キットレンズでカメラを始めた初心者の方が最初に手を出す単焦点レンズとして、「超広角レンズ」も考慮する価値があると思いました。