学会の口頭発表における質疑応答って難しいですよね。
どんな質問が飛んで来るか全くわからないし、大勢に見られている前で答えを導き出さないといけないし、慣れていないとテンパってしまいます。
それでも、自分が気をつけておくだけで改善できるポイントはいくつもあるので、質疑応答を難なくこなすのは意外と難しくないかもしれませんよ。
この記事には広告が含まれています。
学会の質疑応答でよくあるダメなパターン
ここではダメなパターンを5つピックアップしてみました。
- 結論をなかなか言わない
- 文末になると声が小さくなって、肯定文なのか否定文なのか判断できない
- 自分の考えなのか人の引用なのか区別しない
- 発言が文章になってなくて支離滅裂
- レーザーポインターを振り回す
それぞれについて具体例と解決策を示しています。
もくじ
結論をなかなか言わない
ダメな例はこんな感じ。
ご指摘の点につきましては、スライド5枚目のこちらの図にありますように、これら2つの群間に有意差がみられておりまして、確かに6枚目のこちらの写真では同じように見えてしまうのですが、やはり5枚目では有意差があるということで、さらにスライド7枚目の実験ではその結果を裏付けるような結果も得られていますので、やはり私どもとしましては、ある程度有効なものであるという風に考えております。
国会中継か!
結論から話さないのはダメです。それがいくら偉い先生だろうと、有名な政治家だろうと、ダメなものはダメ。(偉くて業績のある先生は結論から話してくださると思うけども)
なぜなら、結論を先延ばしにすると、聴衆側はずっと「そろそろ結論が来るか…!」と身構えておかないといけないからです。コミュニケーションのカロリーが高くなってしない、聞いている側はとても疲弊してしまいます。
そしていつの間にか、「演者は話しているのに聴衆は誰も聞いていない」という状況が発生します。
→ 解決策
「ある程度有効であると考えている」という結論を最初に持ってくると、聞いている側はとても分かりやすくなります。
ご指摘の点につきましては、ある程度有効であると考えております。
その根拠が2点ございまして、5枚目のスライドにありますように、これら2つの群間には有意差がみられているという点と、スライド7枚目の実験でそれを裏付けるような結果が得られた点です。
確かに6枚目のスライドにある写真では同じように(差がないように)見えるのですが、詳細に解析しました5枚目の実験で有意差がみられたため、ある程度有効であると考えております。
「結論 → その根拠 → 反論へのディフェンス → もう一度結論」というような流れで話すと、メリハリがあって聞きやすくなると思います。
文末になると声が小さくなって、肯定文なのか否定文なのか判断できない
自分じゃ気づいてないのかもしれないけどね。
ご指摘ありがとうございます。確かに我々としましてもその問題は認識しておりますが、今後どこかのタイミングで検討する必要があると思いまs…
どっちやねん!
自分の発言に自信がないのか知らないけれど、言葉として自分の外に出す以上、それがきちんと伝わらないと意味がないです。その内容が合ってるか間違ってるかはまた別の問題なので、まず伝わらないと話にならない。
だから、いくら自信がなくても最後までハキハキと話しましょう。
→ 解決策
文末までしっかりと丁寧に発音する。
ご指摘ありがとうございます。確かに我々としましてもその問題は認識しておりますが、今後どこかのタイミングで検討する必要があると思います!
自信がなくてもハキハキと喋る。以上!(この記事も自信たっぷり風に書いてるけど、読者の反応が不安だったりします)
自分の考えなのか人の引用なのか区別しない
人の業績を横取りしない。
ご指摘の内容につきましては○○ような結果もありますので、信頼性のあるものと考えています。
ん…?
こんな発言をしてしまうと、「結果があるならなぜスライドに入れなかったの?」と思われてしまいます。でもよく聞いていると、「○○ような結果」は実際は他の文献からの引用であり、自分で行った研究ではないらしい。
それならそう言わないと伝わらないよ!
→ 解決策
5W1Hを意識して話すと、「誰が行った研究なのか」という点にも目が向くはずです。
ご指摘の内容につきましては、信頼性のあるものと考えられます。他の文献の内容ではございますが、○○ような結果もございまして、我々の結果はこの文献をサポートするものであると考えています。
先行研究をリスペクトする心は、研究を行う上でとても大切です。結論から述べるのもお忘れなく。
発言が文章になってなくて支離滅裂
自分が思っている以上に冷ややかな目で見られてるよ。
このような結果…えー我々はそれ…スライド8枚目の結果を見ると…有意差が確かにみられていますが…一方…失礼しました…まず6枚目の写真を見ますと…結果…考えられることは…えっと…
落ち着いて!
こうなってしまう人は、日頃から文章を書くというアウトプットをしておくと、いつの間にか訓練されると思います。僕も昔はこんな感じでしたが、ブログを書き殴るようになってからは苦しまなくなりました。
文章力を鍛えるためには書くしかない。人に読んでもらいながら。 – starnote*
→ 文章力を鍛えるためには書くしかない。人に読んでもらいながら。
だから毎日文章を書くのはとてもオススメです。マジで。
→ 解決策
あらかじめ頭の中で文章を構築した上で、口から出力するようにしてください。
まず確認いただきたいのは、6枚目の結果です。こちらの写真では細胞内への取り込みが上がっているように見えます。同じ条件にて実験を行ったあと、ウエスタンブロッティングで解析した結果が8枚目のスライドで——
きちんと文章にする。とても大事です。
レーザーポインターを振り回す
これは質疑応答だけではないですが、ポインターを振り回す人をたまに見かけます。
こちらの結果を見ますと(ポインターぐるぐる)(高速回転)
今すぐポインターを置け!
ぐるぐる振り回すと、まるでスライドの上を虫が飛んでいるかのように目障りです。だから内容が全く頭に入ってきません。
基本的にポインターの光はノイズだということを意識して、できるだけ使用を控えましょう。ここだ!というポイントだけ指し示すように使うと、とても効果的になります。だから「ポインター」という名前がついているのです。
→ 解決策
1点を指す。振り回さない。
こちらの結果を見ますと(ピシッと1点だけを指す)
これだけです。
まとめ
以上のように、ここで挙げたダメなパターンは、心がけ次第で改善することができます。
- 結論から話す
- 文末までハキハキと喋る
- 先行研究にはリスペクトを
- 頭の中で文章を作って口から出力
- レーザーポインターは1点のみを指す
いくらスライドにこだわったところで、うまく話せないとスライドの価値も半減してしまいます。だから、普段は慣れない話し方でも少しずつ克服する必要があるのです。
次に読むなら:プレゼンはストーリーから作り始めよう。
学会発表の準備では、スライドの作成よりも先にストーリーを練るべし。 – starnote*
→ 学会発表の準備では、スライドの作成よりも先にストーリーを練るべし。
わかりやすいプレゼンを作り上げるためには、スライドより前に「ストーリー」から作り始める必要があります。