昨年8月に東芝のWi-Fi搭載SDカード「FlashAir」が、Eyefi社のカメラ連携技術「Eyefi Connected」を採用すると発表しました。
→ まさかの展開。東芝のWi-Fi搭載SDカード「FlashAir」がEyefiと連携へ!
僕としても続報を追っていたのですが、今年になってもなかなか新しい情報が出てこなかった。今か今かと待ちわびていたわけです。新しいカード欲しいしね。
そんな中ついにCNET Japanのインタビュー記事で、その詳細が見えてきました。
もとのインタビュー記事はこちら。FlashAir開発の経緯なども語られていて面白いですよ。
Eyefi Connectedってなんだ?
この記事を読むような方なら「Eyefi」とは何ぞや、ということはご存じのことでしょう。ですので説明は省きますね。では、「Eyefi Connected」とは何のことだか知っていますか? 僕はイマイチ分かってなかった。
Eyefi公式サイトにはこのような記述があります。
Eyefiカードのための優れた機能、「Eyefi連動機能」を搭載しているモデルが300機種以上あります。
つまり、なんだかふわっとした「Eyefi Connected」という言葉を日本語に訳すと「Eyefi連動機能」ということになりますね。その「Eyefi連動機能」とは、
- Eyefiカードが挿入されると自動的に検出
- 写真や動画の転送が完了するまでカメラの電源をコントロール
- カメラのディスプレイに転送状況がアイコン表示
- 送りたい写真だけ転送する選択転送や優先転送
- EyefiのWiFiをON/OFF切り替え設定
- 転送状況の表示
というような機能があらかじめカメラ側に組み込まれていることを指します。確かに言われてみると、そんな機能あったよね、と思うようなものばかり。単なる写真転送だけじゃなくて、このような連携機能に由来するカメラとの一体感がよかったんだよね。
ではでは、先ほどのインタビュー記事をもとに「Eyefi Connected」を搭載したFlashAirがどのようなものになるのか、考えていきましょう。
FlashAirがEyefiに取って代わるわけではなさそう
EyefiとFlashAir、「Wi-Fi搭載のSDカード」という意味では同類の製品なのですが、思想は異なります。
Eyefiは、撮影した写真を基本的にすべてPC/Macに転送するというところからスタートしています。いわゆる「Push型」ですね。ユーザー側が操作をしなくても自動的に転送してくれます。
一方FlashAirは、撮影した写真のうち必要なものだけを取りに行くというような考え方です。いわゆる「Pull型」。一眼レフなどのカメラで撮影した写真をスマホを介してSNSでシェアする際に威力を発揮します。
Keenaiと組み合わせれば自動転送も可能
FlashAirが「Eyefi Connected」を採用するからといって、このような思想の部分まで取って代わるわけではなさそうです。しかしながら、結果的にEyefiっぽい自動転送はできるみたい。
––市場としては、Eyefiカードは現販売分で終了になります。Eyefiカードにあった自動転送機能などをFlashAirに搭載することはあるのでしょうか。
児玉氏:Eyefiアプリ(現リコーのKeenai)がFlashAirに対応しましたので、FlashAirでもプッシュ型の自動転送ができるような環境にはなっています。
Eyefiクラウド改めKeenaiのサイトにもFlashAirに対応している旨が記述されています。
ということは、現行の(Eyefi Connectedを搭載していない)FlashAirでもKeenaiへの自動転送に対応している、ということになります。
有料プランへの加入は必要なのかな?
そこで疑問に思うのが、FlashAirを使ったPC/Macへの自動転送を使うにはKeenaiの契約が必要なのかということ。おそらく写真転送のフローとしては「カメラ → PC/Mac → Keenai」となると思いますが、「カメラ → PC/Mac」の自動転送を行うためにもKeenaiの契約は必要なんですかね?
僕は現行のFlashAirを持っていないので、確認できる環境がありません。Keenaiアプリのダウンロードは契約なしでもできるっぽいので、現行FlashAirを持っている人はやってみてください。
Eyefiの技術、必要ですか?
このように、FlashAirでもEyefiっぽい自動転送ができることが分かりました。Eyefi Connectedを搭載していない現行製品においても、です。
では、東芝は一体何のためにFlashAirにEyefi Connectedを搭載しようとしているのでしょうか。この疑問を解決するカギは、FlashAirの弱点とも言われていた電源周りにあるようです。
Eyefi Connectedを採用することになる前の話として、このような記述があります。
カメラからの電源供給によって、どんなカメラでも利用できることがFlashAirのメリットだったのですが、年々カメラに搭載された省電力機能(オートパワーオフ)がネックになってきました。
(略)
先駆者であるEyefiをみると、カメラメーカーと連携を密にして、カメラ側にEyefiカードとの連携機能を搭載してもらうことによって、Eyefiカードを利用している間は給電を止めないことを実現していたわけです。
なるほど。東芝が必要としていたのは、Eyefiの自動転送機能ではなく、電源周りの制御技術だったんですね。それが唯一にして最大の弱点だったと。
前述のとおり、「Eyefi Connected」には全部で6つの機能があります。そのうち、新FlashAirに採用されるのは「2. 写真や動画の転送が完了するまでカメラの電源をコントロール」だけのようです。
––今回のライセンス契約は、Eyefi Connectedの電源周りに関することだけなのでしょうか。
児玉氏:Eyefi Connectedも色々とありますが、その中で実装することを決めたのは電源に関するものになります。
確かに、Keenaiを使えば自動転送はできているし、残る問題は電源のみ、ということか。これは新しいFlashAir、かなり期待できるんじゃないですか?
発売はいつ?
8月の情報では、今年度中、つまり2017年3月までに、Eyefi Connectedの技術を採用した新しいFlashAirが発売されるということでした。この点についてもインタビューでは触れられています。
––今年度中に新しいFlashAirが発売されるとのことですが。
上岡氏:8月23日のプレスリリースの通り、きちんとEyefi Connected機能の搭載したFlashAirを出すことは検討しています。
製品化予定ですので、そこで改めて、何時いつから販売ですということになるかもしれません。まだ話ができる状態ではなく、未定です。
未定だそうです。今年度中は無理なのかなぁ。
まとめ
Eyefiの終了に当たって、東芝とリコーが協力し合ってうまい落とし所を見つけてくれた、というのが個人的な印象です。ユーザーに「Push型」「Pull型」の選択ができる余地を残してくれたのは大変ありがたい。新しいFlashAirが発売されたら買ってみたいと思います。そのときはレビューしますね。
また、CNET Japanのインタビューも、かなり深いところまで掘り下げられていて、聞きたかった情報が満載で、いいインタビューだと感じました。
→ 東芝が無線LAN内蔵カード「FlashAir」でEyefiと技術ライセンスを締結した理由 – CNET Japan
Eye-Fi旧製品をお使いの方は参考にどうぞ
新しいFlashAirが発売されるまでの暫定措置として、Eye-Fi旧製品の延命措置が行われました。長くは使えないかもしれませんが、当面の間の対策としてご参考にどうぞ。
→ Eyefi旧製品のサポートが終了。ただし延命措置があるのでMac/PCへの転送機能だけは継続して利用可能。
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Eyefi Connectedが搭載されていない現行製品でもよければ、サクッと移行しちゃうのも手かもしれませんね。ご購入はこちらから。