転職活動には作戦が重要。
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これまでの経験を組み合わせ、転職で年収を上げた方法
転職にあたり、これまでの経験を組み合わせて年収を上げることに成功しました。具体的な額は言いませんが、30代の年収分布において上位10%以内に入っているくらいと言えばイメージしやすいでしょうか。32歳でこの領域に達することができたのは、自分でもびっくりしています。
この転職にあたって心がけたのは、〈これまで自分が経験してきたこと〉や〈自分にできること〉をできるだけ組み合わせることができる仕事を探すということでした。
もちろん、僕と全く同じ経験を持つ人は誰一人としていないこと、転職活動はタイミングも重要な要素であることから、再現性がないという点にはご注意を。あくまでも数ある事例のひとつとして、参考程度に読んでみてください。
これまでの経験の棚卸し
まずは、自分にどのような経験やスキルがあるのか棚卸しみました。以前、記事において少し考えてみましたが、これをベースにさらに掘り下げた形です。
→ 自分に最適な仕事とは。どのようにキャリアを構築していくか。
前提として、僕の経歴としては以下のような感じで、薬剤師免許と博士(薬学)を持っています。
- 2009〜2015年 —— 国立大学薬学部(6年制)
- 2015〜2019年 —— 同大学院(博士課程・4年制)
- 2019〜2021年 —— PMDA新薬審査
- 並行して、2015年より個人メディア運営
薬学部
僕は国立大学の薬学部(6年制課程)の出身ですが、薬剤師免許は取得したものの薬剤師として働いたことはありません。そのため、薬学部での教育を受ける中で学んだ知識はあるけれど、薬剤師免許を前面に押し出すのは難しい。
一方で、配属された研究室では疫学のような研究を行っていました。具体的には、離島の特定健診受診者におけるホモシステイン関連疾患リスクを評価しており、臨床研究をベースに疫学的な評価をやった感じです。
なお、ホモシステインとは、必須アミノ酸であるメチオニンの代謝経路において中間生成物として生成される物質です。血中ホモシステイン濃度が高くなると、動脈硬化を介した脳卒中や心血管疾患のリスクを高めることが知られています。
→ ビタミンB群不足による「高ホモシステイン血症」のリスクとは|栄養素カレッジ|大塚製薬
博士課程
薬学部を卒業したあとはそのまま大学院(博士課程)に進学しました。研究室自体はそのままですが、薬学部時代から少し研究テーマが変わって、Drug Delivery System(DDS)にのめり込む4年間でした。
といっても、製薬企業の研究職に転職するわけではないので、大学院での研究内容はあまり関係ありません。それよりも、大学院での研究を通して培った考え方が重要です。
例えば、先行研究やこれまでの自身の検討をもとに仮説を設定し、それをどのようなアプローチで検証していけばいいか考えたり、論文化における最終的な結論を見据えて各データの役割を考えながら研究を組み立てたり。研究者として必要な部分を持っていることをアピールすることが重要と考えました。
また、学会で研究成果を対外的にアピールしてきたことも重要。なぜなら、これから先もきっとスライドを作ってプレゼンする機会はたくさんあるだろうし、仕事を進めるにあたって欠かすことのできないスキルだと思うからです。
PMDAでの仕事
PMDAでは2年4か月ほど働き、薬の臨床開発や治験、そして薬事まわりの経験を積みました。具体的にどのような仕事をしているかは先日記事にしたので参考にしてみてください。
→ PMDAの新薬審査部ってどんな仕事してるの? 元審査専門員が紹介します。
分野としては、中枢・末梢神経系用薬、麻酔用薬、眼科薬などの審査、治験相談、治験届調査を担当しました。治験では、製薬企業が試験デザインを「治験実施計画書」という文書に落とし込んで進めるのですが、いろんな薬のいろんな治験実施計画書を見てきました。
試験デザインとは、例えば、二重盲検並行群間比較試験で既存薬に対する非劣勢を検証するために、ある程度効果が出そうな患者を選択・除外基準で絞りつつ、評価項目や評価時点を他品目と合わせて、症例数はこのくらいで——というように、治験の詳細を規定した部分のこと。
数多くの治験において試験デザインを見てきたということは、ある程度自分でも書けるということです。もちろん、実際の治験のように何百ページにも及ぶ治験実施計画書をひとりで書くのは難しいですが、臨床研究レベルの計画書なら書けるくらいの知識があります。
ブログ
このstarnote*は2015年から運営しています。趣味で運営しているサイトであるとはいえ、対外的にもアピールできる規模・クオリティになってきました。
開設にあたっては、ドメインを取得の上、サーバー上にWordPressをインストールし、ブログ形式の個人メディアとして体裁を整えました。これまでに600記事あまりを執筆し、いつも読んでいただいている皆様のおかげで月間数万PVのメディアに成長しました。
また、この活動を続けていたらお声がけいただき、2021年3月よりYahoo! JAPANクリエイターズプログラムにおいても記事を執筆しています。
せっかくなら、この経験も活かして転職活動を進めたい。というか、ブログを続けてきたことを評価してもらえる会社に入りたいと思っていました。
どの転職エージェントを利用するかが重要
新卒での就活では、リクナビやマイナビなどの就活サイトを経由し、そのあとは応募企業と直接コンタクトを取るのが一般的です。しかし、転職活動ではエージェントを介して応募企業とのやりとりを代行してもらうのが一般的。日程調整や面接対策をやってもらえるので、その方が楽です。
とはいえ、大企業から個人経営まで無数に存在する中で「どのエージェンシーを利用するか」がとても重要になってきます。なぜなら、エージェンシーごとに持っている案件が異なる上に、それぞれの強みがあるからです。
僕は、ライフサイエンス分野で年収を上げることが得意だと評判がよかったJAC Recruitmentに登録しました。スキルの棚卸しを行って転職の方向性を確認する面談、案件の紹介、応募書類の添削、面接対策までお世話になりっぱなし。
特にいいと思ったのは、応募企業ごとに担当のエージェントがいて、その人と面談することで応募企業の生の情報を得ることができるというところです。他のエージェンシーだったら1人の応募者に1人のエージェントが付いてお世話をすることになりますが、JACの場合は応募企業ごとにいろんなエージェントが出てきます。
できるだけ多くの経験を組み合わせて活かせる会社・ポジションを探す
JACのエージェントと面談をして、これまでの経歴や転職活動における意向を伝えます。
とりあえず、上述したような経歴をブログを含めて全てお伝えした上で、「これまでの経験をできるだけ多く組み合わせられる会社に入りたい」とはっきり言いました。エージェントの方もその方がいいとおっしゃってくれたので、間違った方向性ではないのでしょう。
せっかく経験やスキルを持っていても、自分から発信して活かさないと意味がありません。つまり、転職エージェントとの面談や職務経歴書において自分からアピールしなければ、その経験やスキルは持っていないことと見なされてしまいます。だからアピールは大事。
その上で、意向に合った会社を紹介してもらいました。その会社を受け持っているJACのエージェントから直接説明してもらったので、事業内容から今後の展望、社風、社員の方の様子など、詳しく教えてもらえました。
結果的に、僕が入社することになったのは求人票に出ていなかったポジションです。他の職種で求人票が出ていた会社に対して、エージェントが「こういう経歴の人が転職活動していますよ、どこかいいポジションはないですか」とお声がけをして出てきたポジション。
シークレット求人とは少し違う気がしますが、企業側も積極的に採用活動をしていないものの、なんとなく欲しいと思っていたポジションと、僕の経験がちょうど合っていたのでした。面接前から「経験に全く問題はないので、あと必要なのはコミュ力だけ」と言われていたくらい。
具体的には、内閣府の予算を使って国家プロジェクトを進めているような医療ICTベンチャー企業で、臨床研究をデザインしたり、大学教授と一緒にプロジェクトを進めたりするような仕事です。
あとでエージェントから聞いた話だと、博士課程で培った仮説検証のプロセスや、PMDAで学んだ臨床試験の知識が評価されました。さらに、IT企業ということもあって、WordPressを使ってブログを運営している経験もプラスに働きました。
面接で認識をすり合わせる
履歴書と職務経歴書を提出して書類選考に通ったあとは、面接でお互いの認識をすり合わせる作業が待っています。
僕が入社した会社の場合は面接2回で、1回目が上司になる予定だった人(実際に今の上司です)、2回目が社長でした。特に僕の方から自分の経験をアピールすることもなく、会社側から事業の紹介と、あとは軽く雑談でした。
そして、社長面接の翌日には年収を含めたオファーが届きました。夕方に面接して翌日の午前中にはオファーが届いたので、きっと社長面接の前から採用は決まっていたのでしょう。面接はお互いの認識をすり合わせるだけの場であって、ここで自分の経験をアピールするのでは遅いのです。
書類で勝負はついている
ここまでの流れを振り返ってみると、履歴書や職務経歴書ですでに僕の経験は十分アピールできていたと思われます。それよりも、どうやって僕に入ってもらうか、面接時に会社側が積極的に宣伝しているように感じました。
つまり、すでに書類選考の時点で勝負がついていて、面接に進む前には僕を欲しいと思っていたということです。さらに、ぜひ入社してほしいと思ってもらえたからこそ、高い年収を提示してもらえたのです。
もちろん、欲しいと思ってもらうタイミングは書類選考時でも面接時でもどちらでもいいのですが、早い段階でそう思ってもらえた方が転職活動を楽に進めることができます。「前向きに検討したいと思ってる」とか「ぜひ入社してもらいたいと思ってる」とか、面接のときに言ってもらった方が気が楽じゃないですか。実際に言われたけど本当に気が楽でした。
だからこそ、履歴書や職務経歴書をしっかり書いて、書類の段階で採用したいと思ってもらう。こうすることで、面接の期待値も上げてもらえるし、その後のオファーも高い年収を提示してもらえる可能性が上がると思います。
まとめ
以上をまとめると、転職で年収を上げるためには以下の3点が重要だと感じました。
- これまでの自分の経験をできるだけ組み合わせられる仕事を探す
- 有能な転職エージェントを利用する
- 書類で勝負をつけられるような履歴書・職務経歴書を書く
転職活動の第一歩は「自己分析」です。これまでどのような経験をしてきたのか、その経験によって今の自分にどのようなスキルがあるのか。仕事に限らず、これまで経験してきたあらゆることをピックアップして、自分の経験を棚卸しすることが必要です。
そのあと、有能な転職エージェントのもとで、自らの経験を最大化することができる仕事があるか探してもらいます。エージェント選びは大変重要ですが、JAC Recruitmentは本当におすすめです。さらに、エージェントの指導も受けながら、勝負をつけられるような履歴書と職務経歴書を作っていく。
年収を上げるためには作戦が必要です。何気なく転職活動を行うだけで年収がアップすればいいですが、コロナ禍ではそれも難しいかもしれません。だからこそ、これら3点をすべて実行するのが重要で、どれか1つが欠けたら転職で年収を上げることはできなかったと思います。