どうやって決めればいいのだろう。
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定住先をどこにするか、という悩ましい問題
以前マンションを契約したという話をしたのだけど、老後までずっとそのマンションに住み続けるつもりは毛頭ない。結婚後には二人の時間を少しだけ設けて、やがて子どもが生まれる。子どもが小さいうちは同じマンションに住み続けるつもりだが、小学校に上がるまでには定住する場所を改めて検討する予定だ。
二人とも職場は東京。でも正直、最近はずっと在宅勤務が中心だから、住む場所は東京だろうと少し離れようとあまり関係ない。週に2回も出社すれば多い方で、出勤のしやすさよりも住みやすさを重視したいと思っている。
ずっと今の仕事を続けるかどうかはわからないけれど、仮にそうだった場合、定住先をどこに定めればいいのか?——というのが最近の専らの関心事だ。
重視する条件は3つ
前提として、僕は長崎、彼女は長野の出身。字面は似てるけど真逆のような土地だ。
定住先を決めるときに僕が重視したいのは3つ。「広くて心地よい家にできるか」「東京まで出社する際に極端に不便ではないか」「子どもの進路選択において我慢させないか」。この3つだ。
仮に東京近郊以外を定住先とする場合、どちらかの出身地あるいはその近くにするのがひとつの選択肢だ。でも、東京の会社に出社する可能性がある以上、さすがに長崎は現実的ではない。となると長野。なるほど長野なら土地も安いし広くて快適な家が建ちそうだ。
長野から東京へは新幹線もあるし、長野駅⇄東京駅なら1時間半程度だ。実際、軽井沢から通勤している人も身の回りにいるし(在宅勤務を駆使して週1往復程度だが)、イメージはつきやすい。
しかし、子どもの進路選択となるとどうだろう。大人と違って子どもは行動範囲が狭く、「住んでいる場所=世界のすべて」になりがちだ。だから、子どもにとって最良だと思える場所、すなわち属するコミュニティを大人が与える必要がある。大人は新幹線で東京に出社できるが、子どもはそうではないからだ。
子どもにとっては都会がいいのでは?
では、子どもにとって東京のような都会と、地方都市、どちらがいいのだろうか?個人的には、多くの選択肢を取りうるという観点から、都会の方がいいと思っている。
長崎で博士課程まで修めた者の実感として、地方都市は選択肢が少ない。そもそも、中学生や高校生の時点で「自分の進路にあらゆる選択肢が用意されている」という想像がつかないのだ。想像がついていたら、たぶん薬学部には進学していないし、博士も取っていない。
例を挙げるとすれば、コピーライター。子どもの頃の僕の観測範囲が狭かったからかもしれないが、少なくともそんな職業があることは知らなかった。東京に住んでいたら、子どもの頃から駅や街角に溢れるコピーを眺めて、「誰がこんな言葉を考えているんだろう?」と疑問に思い、コピーライターという職業について調べていたかもしれない。
でも長崎にいるとコピーなんて溢れていないし、街にあったとしても東京と比較すると圧倒的に接触頻度が少ない。だから何の疑問も思わず、コピーライターという仕事について調べようという発想に至らなかった。
進路選択に制限を与えたくない
人は日常の観測範囲の中にある選択肢しか取りえない。
高校生の頃の僕が取りうる選択肢は、せいぜい長崎大学や九州大学。実家が長崎にある都合上、あまりお金をかけさせるのも申し訳なかったので、地元の長崎大学にある学部から選んだ。その結果が薬学の世界だ。
別に後悔はしていないが、自分が薬学に適性があるとも思えない。仮に東京生まれ・東京育ちだったのなら、もっと自分に合った進路を選択していたのだろうな、とも思う。だから自分の子どもには、進路選択において制限を与えるようなことをしたくないのだ。
こういうことを考えていると、やっぱり東京近郊に留まるのがいい気がしている。でも、郊外の家の広さも捨てがたい。うーん、悩ましい。
定住先探しの旅は続く
あと数年で親になる以上、子どものことを最優先に考えなければならない。子どもの人生を左右することになる「家の場所」となると、極めて慎重に検討する必要がある。
「広くて心地よい家にできるか」「東京まで出社する際に極端に不便ではないか」「子どもの進路選択において我慢させないか」。そもそもこの3条件は同時に成立することはないのか? 例えば東京の市部ならどうだろう?——というようなことを、延々とブレストしている。
今すぐではないが、いつか答えを出さなければならない。だからそれまで、定住先探しの旅は続くのだ。