あの頃の藍坊主が帰ってきた。そんな気がする。
今日は藍坊主(あおぼうず)というバンドの最新作「木造の瞬間」を取り上げてみたい。僕がブログでアルバムを取り上げるときは、心の底から良いと思えた作品のみを記事にすることにしているが、このアルバムはこれまで取り上げた中で頭ひとつ抜けていると思う。
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「ハナミドリ」の再来を待ってた。
僕が藍坊主というバンドと出会ったのは高校3年生の頃だから、2006年。当時彼らがリリースした「ハナミドリ」というアルバムが、格好良さと温かさと甘酸っぱさのすべてが同時に成り立っているようなアルバムで、とにかく衝撃を受けた。僕がJ-Rockを聞き始めるきっかけになった大切なアルバムだ。
ここに貼ったのは「ジムノペディック」という曲。歌詞を読むと全く意味不明な内容なんだけれど、ボーカルhozzyの優しく暖かい歌声によって、うまくまとめられてしまった曲だ。
これより後も彼らは曲を作り続けて何枚ものアルバムをリリースしているのだけれど、少しずつ作品の方向性が変わっていった(よくある話だ)。他人から見た「自分らしさ」を維持することほど難しいことはない。
だから最近の僕は彼らから少し遠ざかっていて、近年リリースされたアルバムはあまり聴いてなかった。それくらい「ハナミドリ」が衝撃的で、このアルバムが彼らの最高傑作になると信じていた。
しかし、12年の時を経て「ハナミドリ」の進化版とも呼べるアルバムがついにリリースされたのだ。彼らなりの試行錯誤をし続けて作品を積み重ねた結果、1周回って戻ってきたような印象を受ける。そんなミニアルバムだ。
最新ミニアルバム「木造の瞬間」
タイトルは「木造の瞬間」(きづくりのしゅんかん)。2015年に彼らが立ち上げた自主レーベル「Luno Records」からのリリースだ。
- 群青
- ダンス
- 嘘みたいな奇跡を
- 同窓会の手紙
- トマト
- かさぶた
- ブラッドオレンジ
7曲入りのミニアルバムなのだけれど、そのうち3曲がYouTubeの公式チャンネルにアップされている。言葉で語るには限界があるので、まずは聴いてみて欲しい。
まずはアルバムを締める7曲目「ブラッドオレンジ」。映像はライブだが曲はCD音源だ。
続いてアルバムの1曲目「群青」。こういう曲を待ってた。
最後はリードトラックである「嘘みたいな奇跡を」。
生まれ変わっても あなたを 思いだすから
安心していっておいで きっと探し出すよ だから 僕を心配しないで
おそらく、「ハナミドリ」を超えたと僕が感じたのはこのような歌詞に現れている部分で、12年前はもっと遠回しにしていたであろう表現を包み隠さず真っ直ぐ伝えようとしている。このような真っ直ぐさが、藍坊主にもともとあった優しいメロディと相まって、さらなる高みに達したのだと思う。
最後に
久しぶりに衝撃を受けるアルバムに出会った。それがまた藍坊主だったというのも衝撃だ。だからこれからも僕は彼らの作品を聞き続けるのだと思う。
作品情報
アーティスト | 藍坊主(あおぼうず) |
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作品名 | 木造の瞬間(きづくりのしゅんかん) |
収録曲 | 1. 群青 2. ダンス 3. 嘘みたいな奇跡を 4. 同窓会の手紙 5. トマト 6. かさぶた 7. ブラッドオレンジ |
配信サービス | Apple Music Spotify |