レンズ本体と作例をご紹介。
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SAMYANG AF 135mm F1.8 FE
ソニーEマウント(フルサイズ)の中望遠レンズに、コストパフォーマンスに優れたモデルが出ました。
中望遠とは焦点距離70〜135mmくらいのレンズのことをいいます。今回取り上げるのは、その中でも最も望遠寄りの「135mm F1.8」の単焦点レンズ。被写体をドラマチックに切り取ることができる、魔法のようなレンズです。
このクラスには、これまでソニー純正のGMレンズ(SEL135F18GM)かSIGMAのレンズ(135mm F1.8 DG HSM)くらいしか選択肢がありませんでした。前者は価格の高さ(20万円超え)、後者は重さ(1kg超え)という弱点があり、なかなか手が出なかったのも事実。
そんな中、韓国・SAMYANGから「AF 135mm F1.8 FE」が出ました。海外では以前から発表されていましたが、日本でも2022年5月末に発売されたんです。
このレンズは、「135mm F1.8」でありながら、700g台の軽さと、12万円という安さを両立させたモデルとなっています。これで写りに申し分なければ、使いやすいレンズとなりそうですが…!
日本でSAMYANG製品を取り扱っているケンコー・トキナーさんより、この「SAMYANG AF 135mm F1.8 FE」を1か月ほどお借りしました。いつもありがとうございます。
[Conflict of interest]
広報用の機材をお借りし、商品提供や金銭の授受などは一切ありません。記事の内容は全く指示を受けていないので、僕が使ってみた率直な感想を記載しています。
もくじ
本体と付属品
さて、まずはレンズ本体と付属品をご紹介しましょう。こんな箱に入ってきました。
レンズ本体はずっしり
レンズ本体の大きさは「直径93.4mm × 全長129.6mm」。Sony α7 IIIに装着するとこんな感じです。それなりの大きさを覚悟していたので、あまり驚きませんでした。
外装はプラスチックがメインです。
触っても金属のような冷たさはないので、オーナーの所有欲はあまり満たされない気がします。ただし、外装を見るだけではチープさはなく、オーナー以外には分かりません。むしろプラスチックであることが、レンズ全体の軽量化に貢献しているんです。
また、フォーカスリング部分にはラバー加工が施されています。
さらに、レンズの先端部分には、さりげなく赤いラインが入っています。以前紹介したXマウント「SAMYANG AF 12mm F2」と同じように、正面から覗かないと目立たないようになっています。さりげないワンポイントが上品です。
その他、細々としたスペックは以下のとおりです。
焦点距離 | 135mm |
---|---|
明るさ | F1.8~F22 |
画角 | フルサイズ:18.9° APS-C:12.5° |
大きさ | Φ93.4×129.6mm |
重量 | 約772g |
フィルターサイズ | 82mm |
最短撮影距離 | 0.69m |
最大撮影倍率 | 0.243倍 |
絞り羽根 | 11枚 |
レンズ左側にはスイッチ類も
レンズの左側にはボタンやスイッチが3つ備わっています。個人的には、この手のスイッチ類はあまり使わないのですが、よく使う方にとっては便利なのだと思います。
フォーカスホールドボタン
AFモードでこのボタンを押すと、ピント位置が固定、瞳AF、アストロフォーカスモードへの切り替えが可能。
カスタムスイッチ
カスタムスイッチ機能を使い、フォーカスリングを絞りとして静かに調節できる。
フォーカス範囲リミッタースイッチ
AFが作動する範囲を設定可能。限られた範囲でAFを作動させることで、AF速度を高めながら不要な被写体への合焦を事前に防ぐ。
付属品は必要最小限
レンズの他の付属品は必要最小限です。こうして切り詰めることで、コストパフォーマンスの高い製品を作っていると思うので、好感が持てます。
まずはレンズキャップ。プラスチック製ですが、チープさはなく、バネの動きも滑らかで、これはソニー純正より質感が高いですね。
レンズフードもプラスチック製。先端にシリコン加工が施されています。装着すると結構迫力があります。
その他、説明書と格納用の袋が付属します。
作例をご紹介
さて、ここからは作成をご紹介します。正直な話をすると、135mmという望遠寄りのレンズを使うのが初めてのことで、うまく使いこなせなかったかもしれません。このあたりを加味してお手柔らかにお願いします…!
- シーン1:室内
- シーン2:東京蚤の市と国営昭和記念公園
なお、全てRAWで撮影し、Adobe Lightroom Classic CCで現像しています。カメラ本体が出力したそのままの写真でないことをご了承ください。
シーン1:室内
中望遠レンズで自宅の中を切り取ると、日常の何気ない景色がドラマチックに写ります。大きなボケ味と相まって、物体そのものを際立たせてくれるんです。ただし、ピントがとてもシビアなので、タッチフォーカスなどで被写体を意図的に指定した方が失敗が少ないと思います。
〈使用機材〉
カメラ:Sony α7 III
レンズ:SAMYANG AF 135mm F1.8 FE
現像:Adobe Lightroom Classic CC
シーン2:東京蚤の市と国営昭和記念公園
昭和記念公園ほど中望遠レンズに相応しい場所はないと思い、持っていきました。ちょうど無料エリアでは東京蚤の市が開催されていたので、そこで数枚。その後、有料エリアに移動し、散歩しながら花々を撮りました。
→ 2年半ぶり開催の東京蚤の市に行ってきた。会場の雰囲気と戦利品を紹介。
〈使用機材〉
カメラ:Sony α7 III
レンズ:SAMYANG AF 135mm F1.8 FE
現像:Adobe Lightroom Classic CC
被写体をドラマチックに切り取る
この「SAMYANG AF 135mm F1.8 FE」を使うと、背景がとろとろにボケるので、被写体を際立たせ、何気ない景色をドラマチックに切り取ることができるのです。
例えば、東京蚤の市で撮ったこの場面。
真ん中にあるドライフラワーの瓶にピントを合わせました。そうすると、手前と奥の瓶がボケて目立たなくなり、真ん中の瓶が際立ちます。写真の中の主役を明示することができるので、よりドラマチックになるんです。
また、前ボケもきれいで、写真のクオリティを何段も底上げしてくれます。例えば、昭和記念公園のネモフィラにミツバチが止まっていた、この場面。被写体の手前には葉が重なっており、それが前ボケとなって、雰囲気のある写真になりました。
ただし、決して万能ではない
昭和記念公園を訪れた日は、〈Sony α7 III + SAMYANG AF 135mm F1.8 FE〉と〈FUJIFILM X-T200 + FUJINON XF23mmF2 R WR〉の2台を持っていきました。
作品を撮りに行くだけなら、135mmを1本だけ持っていけばいいかもしれませんが、その場を広く写したいときには画角が狭すぎます。今回は東京蚤の市の全体の雰囲気も撮りたく、屋外でレンズを交換するのも大変なので、2台体制としました。
被写体をドラマチックに切り取れる分、全体の雰囲気を捉えるのが苦手——というのが、中望遠レンズに全般的に言える弱点です。それを補う手立ては事前に考えておかないといけないので、場合によっては荷物が増えます。
このようなところが、「SAMYANG AF 135mm F1.8 FE」に限らず、中望遠レンズを使う際の注意事項ですね。決して万能なレンズではないことは、気にかけておく必要があります。
まとめ
「SAMYANG AF 135mm F1.8 FE」は、被写体をドラマチックに切り取りたいのなら、とてもいい選択肢です。他の同スペックのレンズと比較しても、物理的に重くなく、価格も比較的リーズナブル。
次のレベルへのステップアップとして、いい選択肢なんじゃないかなと思います。初心者がいきなり買うレンズではないと思いますが、少しずつカメラに慣れてきて、特徴のあるレンズに手を出したいと思ったときは、ぜひ「SAMYANG AF 135mm F1.8 FE」を思い出してください。
→ SAMYANG AF 135mm F1.8 FE(ケンコー・トキナー公式サイト)
ちなみに僕はというと、お借りしていたレンズはもう返却してしまったので、買いたい気持ちはあります。しかし、使用頻度が高くないと思われるので、今のところ12万円を注ぎ込む決断ができません……